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琵琶湖畔で堀場製作所と取り組む環境にやさしいエネルギー利用|熊田亜紀子

掲載日:2026年7月7日

琵琶湖の畔で堀場製作所と取り組む環境にやさしいエネルギーの使い方

東大と堀場製作所が2022年4月に開設した「環境調和型エネルギーシステム社会連携講座」。
自動車排ガス計測機の分野で世界トップレベルの技術を持つメーカーとともに目指すのは、エネルギーを効率的に使用・管理する「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」の開発です。
この講座の座長を務める熊田亜紀子先生に共同研究について話を聞きました。

エネルギーを賢く使いカーボンニュートラルへ

熊田亜紀子
KUMADA Akiko
工学系研究科 教授

京都に本社を置く堀場製作所と共同で、エネルギー運用を最適化する「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」の開発を行っています。電力会社からの電力供給だけでなく、太陽光、水素、熱など、さまざまな形に変化するエネルギーを総合的に扱うEMS。多様なエネルギーをどう使い、どう管理するのが最も効率的なのかを研究しています。

すでにマンション群や地域単位での取り組みは始まっていますが、私たちが目指すのは世界でも未確立の研究開発施設のEMS構築です。突発的な装置の稼働や多様な実験、研究員の出入りなど、研究所でのエネルギーの使われ方は極めて不規則です。堀場研究所の計測技術と東大の予測技術を使って、二酸化炭素の排出量が最も少なくなるエネルギーの賢い使い方は何かを解明したいと思っています。

私たちの研究室が取り組んでいるのは、エネルギーの需要予測技術の開発です。手始めとして、本郷キャンパスの工学部2号館の電力需要予測を行いました。この研究に役に立ったのが、コロナ禍中に工学系研究科等を中心に開発された接触確認アプリ「MOCHA」の情報です。人の混雑度が電力消費に与える影響は大きく、過去の電力消費量や建物、気象といったデータの中でも、MOCHAから取得した情報が電力需要予測の際に非常に有益なデータであることが分かりました。

今後は琵琶湖湖畔に位置する堀場の開発・生産拠点「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」内の自動車性能試験を行っている「E-LAB」のデータを使って需要予測技術の開発をし、実証実験を行う予定です。

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研究所EMSの社会実装イメージ。このプロジェクトでは、4つのグループに分かれて、ソフトウェアシステムの開発、需要予測技術、蓄電池と水電解の特性把握の研究を行っています。
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2023年6月にHORIBA BIWAKO E-HARBORを表敬訪問した加藤泰浩工学系研究科長ほか。「おもしろおかしく」は堀場製作所の社是です。

再エネの送電技術開発

カーボンニュートラル社会を実現するためには、エネルギーの使い方を最適化する仕組みと、それを支える次世代の電力インフラ技術の両輪が必要です。こうした背景から、私たちは電力インフラのハードウェア研究にも取り組んでいます。その一つが、高圧直流送電技術の開発です。電気は発電所から需要地まで、交流で送電されてきました。しかし再生可能エネルギーの登場で新しい技術が必要になってきています。例えば洋上風力発電の場合、海からどうやって送電するのか。考えられているのが直流送電です。その際の電流の遮断と絶縁技術の研究を行っています。

それと並行して継続しているのが、放電を計測する光センサーの開発です。放電が進んでいる最中の電界を測ることで、シミュレーション時に実測と比較できたり、電力機器設備に不具合があった時に、修繕する部分が分かったりします。電力機器の保守保全に使える測定技術です。最近では、レーザーの光の状態から電界の強さを測定できるシステムの研究をしました。例えば赤い光のレーザーを打つと、その場所の電界の強さに応じて青い光が発生します。その青い光の強度から電界の値を測定する技術です。

カーボンニュートラル社会の実現には、エネルギーを賢く制御するソフトウェア技術と、電力を安全かつ効率的に扱うハードウェア技術の融合が不可欠です。私たちはその両面から研究を進め、次世代の電力システムの構築に貢献していきたいと考えています。

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熊田先生たちの実験室。真ん中にある装置は高電圧パルスを生成する「Impulse Generator」。送電設備や絶縁材料などの耐電圧性能を評価するための主要な試験装置です。
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青い光の強度から電界の値を測定。レーザーによる電界計測の技術が次世代電力ネットワークに活かされます。

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