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ここ掘れワンワン!UTokyo犬コレクション +犬コネタ集

掲載日:2023年12月19日

ここ掘れワンワン!UTokyo犬コレクション+犬コネタ集

蔵書、絵画、彫像、人形など、東京大学のあちこちにある犬関連の作品を集めて紹介します。犬系のマスコットや名物犬の話題もあわせてお届け。気になる犬がいたら深掘りしてみてほしいんだワン!

総合図書館の犬可憐な犬から不憫な犬まで

  • 『南總里見八犬傳』第三集巻二

    『南總里見八犬傳』第三集巻二
    (曲亭馬琴 編、柳川重信 画/南葵文庫)
    安房里見氏の興亡を描く全98巻106冊の長編小説は、神犬八房の気に反応して伏姫が生んだ八英傑の物語。8人の名にはそれぞれ「犬」の字が付いています。巻ごとに犬の装丁が施され、なかでも第3集2巻のころころした犬模様のかわいさは特筆もの。

  • 『今様八犬傳』第二編

    『今様八犬傳』第二編
    二世為永春水 作、(一勇斎国芳 画/青洲文庫)
    狂言として上演された「里見八犬伝」の大ヒットを受け、全6編として草双紙化された『今様八犬伝』。第二編の表紙を飾るのは3匹のぶち犬。絵師は猫絵で人気の国芳です。

  • 『雪梅芳譚 犬の草紙』第二冊

    『雪梅芳譚 犬の草紙』第二冊
    (笠亭仙果 作、一陽斎豊国 画/青洲文庫)
    八犬伝を抄録し合巻にした『犬の草紙』第二冊の奥付には首に冷感リングを着けた感も漂うずんぐり犬が。

  • 『動物訓蒙 初編 哺乳類』

    『動物訓蒙 初編 哺乳類』
    (田中芳男 選、中島仰山 画/博物館)
    NHK連続テレビ小説『らんまん』でいとうせいこうが演じた里中芳生のモデル・田中芳男は博物学者。博覧会や博物館や動物園の創設に深く関わった偉人による動物図鑑が『動物訓蒙』。「イヌ」の次には室内で愛玩する猫サイズの動物として「チン」が登場しています。

  • 『犬狗養畜傳』

    『犬狗養畜傳』
    (暁鐘成 作/田中芳男文庫)
    江戸時代後期に書かれた現存する唯一の犬飼育書が『犬狗養畜伝』。作者は大坂の読本作家兼絵師。文から表紙から挿絵から犬愛が滲み出ます。

  • 『犬追物図説』

    『犬追物図説』
    (伊勢貞丈 作/南葵文庫)
    犬を追って馬上から矢を射る競技・犬追物は武士の必須武芸。幕臣による解説書『犬追物図説』には、運命を知ってか知らぬか物悲しい表情の犬が描かれています。

参考:常設展示「犬」(2006年2月~3月)(東京大学付属図書館)別ウィンドウで開く

経済学図書館の犬 ウィリアム・ホガース版画(大河内コレクション)犬を描きこんだ自画像を活用して論敵を風刺

東大総長を務めた大河内一男、経済学部長を務めた大河内暁男という経済学者二人によるホガースのコレクション別ウィンドウで開くが経済学図書館にあります。ホガースは18世紀イギリスを代表する画家。パグ好きで知られ、自画像にも愛犬「トランプ」を描き込みました。

  • 《画家とパグ》

    《画家とパグ》1801年《画家とパグ》は油彩の自画像を元にした版画。駒場博物館の特別展「近代ロンドンの繁栄と混沌」(2023年)に総合文化研究科・大石和欣教授が寄せた解説によると、パグ(pug)は好戦的(pugnacious)な性格を暗示しています。

  • 《ごろつき》

    《ごろつき》1763年《ごろつき》は自分を風刺した牧師兼風刺画家チャールズ・チャーチルを意識したもの。《画家とパグ》の自画像をすり替え、右手にジョッキ、左手に「うそ」と書かれた棍棒を持つ熊としてチャーチルを描きました。パグはチャーチルによる「ホガースへの書簡」に放尿し、版画内ではホガースが熊を鞭打っています。

東大の狛犬大学の研究も見守る犬(獅子)像

よく神社で見かける狛犬(獅子)像。神社ではない東京大学にも複数存在します。

  • 東洋文化研究所の狛犬

    東洋文化研究所の狛犬よく知られているのは、東洋文化研究所(東文研)入口の一対。所の歴史に詳しい大木康先生によると、もとは大塚にあった東方文化学院の建物入口に置かれていたもの。1932年に資料として購入されました。東方文化学院が1948年に東文研に吸収され、のちに建物は外務省の施設に。1994年に建物が拓殖大学に売却され、狛犬は東文研が引き取りました。「敷物の表現や背の模様から格式の高さが窺えます。中国でもこれほど立派な獅子像(狛犬)はそうないですよ」(大木先生)。

  • 総合研究博物館の狛犬

    総合研究博物館の狛犬総合研究博物館にあるのは被曝した狛犬の頭部です。1945年に渡辺武男教授(当時)らの調査団が持ち帰り、広島護国神社の狛犬と伝えられましたが、2002年に田賀井篤平教授(当時)が丹念な調査を行い、長崎の浦上天守堂の柱飾りである可能性が高いことが明らかに。人類史に残る標本です。

    参考:「石の記憶」解明へのフィールドワーク(東京大学総合研究博物館)別ウィンドウで開く

  • 駒場博物館の狛犬

    駒場博物館の狛犬駒場博物館の入口にも収蔵物の一つである狛犬が置かれ、訪れた人を出迎えています。

明治新聞雑誌文庫の犬猫に授乳する犬、強盗を咬む犬

明治期の膨大なコレクションを擁する法学部明治新聞雑誌文庫別ウィンドウで開くは、ニュースと浮世絵を組み合わせて人気を博した「錦絵新聞」というジャンルの刷り物も多く収蔵しています。

  • 大阪錦画新話8号

    大阪錦画新話8号錦絵新聞は庶民に身近な出来事を伝えることが多く、「大阪錦画新話」8号には死んだ母猫のかわりに子猫に乳をやる髪結の犬の姿が。

  • 東京各社撰抜新聞

    東京各社撰抜新聞「東京各社撰抜新聞」には洋妾宅に押し入った強盗に咬みつく犬の姿が。明治期も犬は庶民ととともに暮らしていました。

埋蔵文化財調査室の犬安産祈願の思いがこめられていた?

大名屋敷の跡地にある本郷キャンパスではさまざまな遺物が出土しています。埋蔵文化財調査室が所蔵する人形類のなかから、犬を象ったものを並べました。

  • 本郷構内で出土した犬人形

    本郷構内で出土した犬人形こちらの土人形は、御殿下記念館地点49号遺構から出土した狆の坐像。同遺構からは加賀藩最後の藩主・前田慶寧の御印である「纏」と書かれた鳥の餌入、再興九谷民山窯の碗なども出土しています。このような大型狆像の出土例は町人地では見られない点からも御殿らしい遺物だと言えます。

  • 本郷構内で出土した犬人形

    本郷構内で出土した犬人形これらの土人形は、藩邸外で御先手組組屋敷にあたる工学部14号地点で出土したもの。犬は昔から安産で知られる動物です。愛玩用のものもあるでしょうが、安産祈願の意味合いが強かったのではないかと考えられます。

農学部長室の犬世界に5体しかない貴重な剥製

かつて本州・四国・九州に分布し、20世紀初頭に絶滅したとされるニホンオオカミ。弥生キャンパスの農学部長室には、岩手県産の雌の剥製標本が飾られています。
1881年に購入され、森林動物学研究室の所蔵品として農学部標本室に保管されてきたもの。ほかにはイギリスの大英博物館、オランダのライデン王立博物館、日本の国立科学博物館と和歌山大学に各1点あるだけという貴重な標本です。

  • ニホンオオカミの剝製

    ニホンオオカミの剥製

  • ニホンオオカミの剝製

    ニホンオオカミの剥製

物性研究所の犬柏の葉に包まれた餅のような白犬

柏の物性研究所には「物性犬」というマスコットがいます。物質・材料研究機構で活躍する永村直佳先生が在籍時に生み出した犬で、柏の葉に包まれた柏餅的外貌で2013年から所をPRしています。

  • 物性犬

    就任挨拶を語る廣井善二所長の後ろにも登場。

  • 物性犬ぬいぐるみストラップ

    物性犬ぬいぐるみストラップ2018年にぬいぐるみストラップが発売→品切れとなりましたが、2023年の柏キャンパス一般公開の際に再販が決まり、柏と本郷の東大生協で販売されました。

その他の犬トピックス1

  • 運動会の犬ハチ公を継ぐ応援系秋田犬

    イチ公

    イチ公別ウィンドウで開く2009年に開催された第48回全国七大学総合体育大会(七大戦)のマスコットとして登場し、大会後は東大運動会のマスコットに。名前の由来は東大の源流の一つである旧制一高。普段はまじめに授業に出席している秋田犬ですが、休日は運動部の応援に出かけています。夢は東大の運動部が世界大会に出場してその応援で海外に行くこと。好物は焼き鳥(たれ)です。第62回七大戦は、9月16日に最終競技を迎え、東大が総合優勝を果たしました!

  • 医学部附属病院の犬患者さんらを癒した北海道犬

    ねね

    ねね東大病院にはかつて名物犬がいました。管理・研究棟アーケード内にあった花屋「フラワーキャンバス」の北海道出身のご主人が飼っていた、北海道犬のねねです。1994年1月からご主人と店に出勤するようになり、病院に来る人々をあたたかく迎えていました。干支が戌だった2006年には4匹の子犬とともに病院の広報誌『東大病院だより別ウィンドウで開く』1月号の表紙を飾り、当時の情報によれば計13匹も産んだという子だくさんのねね母さんでした。

  • 教養学部長の犬駒場印のスタンダードプードル

    キクマル

    キクマル総合文化研究科長・教養学部長を務めた動物行動学者の長谷川壽一先生は大の愛犬家。見知らぬ人の欠伸より飼い主の欠伸のほうが犬に伝染すると示した2013年のプレスリリースには「ブラタモリ」出演経験もある愛犬の姿が。「学部長室に毎日「出勤」したキクマルは15歳目前に虹の橋を渡り、今は同じ血筋のコギク(8歳)、マギー(3歳)と楽しく暮しています」と語る長谷川先生。犬との日々をkikulog2.xsrv.jp別ウィンドウで開くで綴っています。

  • 文書館の犬資料狂犬出没の噂で駆除を実施

    構内野犬狩實施ノ件

    構内野犬狩實施ノ件法人文書や東大史に関する資料の保存と利用を担う東京大学文書館別ウィンドウで開くは、学内各部署間で伝達に使われた事務文書を多く所蔵しています。大正15(1926)年6月2日に学生監室(学生支援課の前身にあたる)から庶務課に出された文書には、6月6日に所轄の警察署と協力して構内の野犬狩りを行うという内容が記されていました。現代のキャンパスでは見られませんが、当時は構成員に危険を及ぼす野犬がうろついていたようです。

  • 駒場寮の犬伝説犬食いは自然なことだった?

    「東大新聞」1957年11月27日付

    「東大新聞」1957年11月27日付昔の印刷物を探ると駒場寮の犬肉食いの話が出てきます。1957年の東大新聞には、駒場祭で焼鳥ならぬ焼犬を販売する写真や、「われわれにとって犬を食うことはきわめて自然」との学生談話が登場。今年5月に逝去した畑正憲さんの著書『続々ムツゴロウの博物志』(1976年/毎日新聞社)には、寮に出入する野良犬を保健所に回収される前に自分らで食おうと決意するも空手部員に先に食われたとの記述が。つい60年前の話です。

  • 東大Twitterの犬人気企画でも健在のハチ公力

    #今日は何の日 3月8日版

    #今日は何の日 3月8日版Twitterの東大公式アカウントが2021年12月に始めたのが、X月X日に起こった東大に関係する出来事を画像付きで発信する「#今日は何の日」シリーズです。毎回多くの反響を得ていますが、中でも人気を集めたのが、ハチ公の命日である3月8日の投稿別ウィンドウで開く。2022年も人気でしたが、2023年の投稿では1483「いいね」と3987 RTと38.1万ものインプレッションを得ました(7月31日現在)。鳥からXに変わってからはどうなるでしょう。

その他の犬トピックス2

特集で紹介できなかったその他の犬関連研究の話題をスペースの許す限り紹介します。

  • 農学生命科学研究科・米澤智洋先生らは、特発性てんかんの犬に高用量のドコサヘキサエン酸(DHA)を与えると発作の頻度が減ることを示すプレスリリース別ウィンドウで開くを8月2日に発表しました。
  • 史料編纂所の藤原重雄先生は、「歴博甲本「洛中洛外図屏風」に描かれた犬馬場」別ウィンドウで開くと題した報告を2021年11月の史学会大会日本中世史部会で行いました。
  • 総合文化研究科の藤岡俊博先生は、エマニュエル・レヴィナスのエッセイ「犬の名——あるいは自然の権利」(1975年)を題材としたウェビナーを第2回グローバル・スタディーズ・セミナー別ウィンドウで開くとして2022年9月26日に開催しました。
  • 総合研究博物館の遠藤秀紀先生と農学生命科学研究科附属動物医療センターの猪熊壽先生は、パートナーとしての犬との絆を探る『イヌの動物学』(東京大学出版会)第2版別ウィンドウで開くを2019年11月に出版しました。
  • 千葉演習林維管束植物標本画像データベース別ウィンドウで開くでは、イヌツゲ、イヌゴマ、イヌホオズキ、イヌビワ、イヌハギ、イヌムギ、イヌマキ、イヌワラビ、イヌシダ……が確認できます。接頭語「イヌ」は植物では人の役に立たないものに使われることが多いようです。
  • 物性研究所の電子顕微鏡室では、ダックスフンドの毛やオオイヌノフグリの花粉の走査型電子顕微鏡写真を「SEM写真館別ウィンドウで開く」のページで公開しています。

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