4月から東大のロゴマークが(ちょっと)変わります
「世界の誰もが来たくなる大学」になるためのビジュアルアイデンティティ(VI)確立へ
2024年度から東京大学のロゴマークが変わります。どのように変わるのか、なんのために変えるのか、なにを目指しているのか。学内に検討チームを立ち上げ、大学の活動指針のもとで議論を重ねてきた岩村水樹理事に、今回のリニューアルにかけた思いを語ってもらいました。構成員が使用する際のガイドラインの要点とともに紹介します。

- 理事 岩村水樹
- 広告、外資のコンサルティング、ブランド企業、大学教員などを経てグーグルアジア太平洋・日本マーケティング担当バイスプレジデント。
2021年4月に本学理事(総長ビジョン推進担当)に就任。著書に『ワーク・スマート』(中央公論新社/2016年)ほか。本学教養学部卒。
東大のブランド価値を可視化する
2021年に理事に就任した当初から、東大にはビジュアルアイデンティティ(VI)の確立が必要だと感じていました。VIとは、ブランドの価値を可視化して伝えるデザイン要素全般のことです。2021年に発表した「UTokyo Compass」では、大学への支持と共感の増進という目標を掲げ、「新たなブランド確立のためのマネジメントシステム構築」を行う旨を記しました。検討チームを立ち上げ、複数部署の教職員とVIを考えるワークショップを行うと、各々が感じる東大の誇らしい部分として、世界の公共に貢献しようと高い志を持って研究に邁進していることなどが挙がりました。一方、多様性に富む学生や教職員が進取の気性を持って新しいことに取り組んでいるのに、それがあまり社会に伝わっていないとの指摘もありました。
現状では、印刷物でもウェブでも、組織やプロジェクトごとに違うスタイルの発信がされています。それらを見ても東大という一つの組織から出たものとは思えません。「世界の誰もが来たくなる大学」になるには、国外に伝わることが大事だと思いました。また、一貫したVIにより、国内では大変に強い東大というマスターブランドの強さを構成員のだれもが活用できるのはチャンスだとも考えました。
よりModernでFriendlyなロゴに
VIの軸となるロゴマークの検討では、世界の多くの大学の事例を集めて分析したところ、modernかtraditionalか、friendlyかformalかという2軸で整理することができ、東大の現状のものはtraditionalかつformal の象限に位置づけられることがわかりました。デジタルでの発信が主となる現代では、どのデバイスからアクセスしてもシンプルで直感的にわかりやすいことがデザインの基準となっています。私がバイスプレジデントを務めるGoogleのロゴ変更(2015年)もその流れに沿ったものでした。紙が主だった時代にできたものとデジタル時代にできたものとでは自ずと作り方が異なります。Googleが2014年に発表したマテリアルデザインの考えが現在は主流となっています。情報のやりとりの主流はモバイルであり、小さな画面で見る際の視認性の高さが重要です。それを踏まえて、formalよりfriendlyを、伝統より未来を志向するVIを、と決めました。

ロゴの文字部分は、黒色だと厳格で権威的な印象につながると考え、明るくオープンな姿勢を示すためにスクールカラーの淡青色に変更し、黄色と淡青色の組み合わせを強調。フォントも現代的なものに変更しました。一番のポイントは、メインのロゴを「UTokyo」とすることです。世界に開かれた大学のシンボルとしては、読める人が限られる漢字よりも多くの人に伝わる可能性がある英字がふさわしいと判断しました。
これは大きな変更でした。「UTokyo」は「University of Tokyo」の一般的な略称ですが、浸透しているとは言えず、私自身も理事に就任するまで知らなかったぐらいです。一方、海外で「東京大学」と示しても「Todai」 と伝えても、わかる人は残念ながら限られます。世界の公共性に奉仕する大学であるために、まずは存在を知ってもらうことが必要と判断し、思い切って舵を切りました。場面に応じて使ってもらえるよう漢字・英字併用のロゴ※も用意し、構成員向けのVIガイドラインも制定しました。ルールに沿えばだれでも使える、東大コミュニティにとってアクセシブルなVIですので、積極的に使ってほしいと思っています。
※UTokyo Logotype C(Secondary)
“UTokyo時代”の始まりです
UTokyo Logotypeは、変化が大きい時代のなかで、東大が世界の誰もが来てくれる場であるためのシンボルです。学会発表でもプレゼンテーションでも打ち合わせでも、何か学外の人とやりとりする際には、所属部局・部署のロゴと組み合わせてどんどん使ってください。“UTokyo 時代”の始まりです。未来の世界を見据えて新しい東大に向かおうというこのムーブメントにぜひ参画してください。
そのロゴがついたTシャツを自分で着たいかどうかという「Tシャツテスト」を考えると、新しいUTokyo Logotypeなら私自身も着て外に出たいと思えそうです。理事就任時、本誌で「Unlock the Potential!」というメッセージを出しましたが、今回のロゴがそのためのスプリングボードになることを期待しています。
VIガイドラインの要点
部局・部署のロゴや名前と組み合わせて使えます
組織のロゴマークがある場合は、区切り線を入れ、左にUTokyo Logotype、右に組織ロゴを配置する形で使えます。組織のロゴマークがない場合は、UTokyo Logotypeと組織の英語名称を組み合わせる形で使えます(指定フォントの使用が必須です)。
推奨フォントと推奨カラーがあります
VIガイドラインでは、コミュニケーションの場面に応じて3つの方向性を持つ8つのブランドカラーを使うことを推奨しています。また、セリフ体とサンセリフ体の推奨フォントとして6つのフォントを定めています。
本学構成員(教職員・学生)は審査不要で使えます
従来は広報課へのメール申請→審査→許可→データ提供というフローでしたが、今後はフォームから申請→データダウンロードという流れに変更。本学構成員ならロゴを使いたいときにすぐ使えるようになります。校友会、共同研究などの使用の際は従来同様に審査が必要です。
※詳しくはUTokyo Portalに掲載のVIガイドライン本体でご確認ください