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遊びを学びにつなぐ「ゲーム学習論」研究の環境整備にご支援を シリーズ東大基金|「プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト」の巻

掲載日:2025年2月4日

シリーズ東大基金

遊びを学びにつなぐ「ゲーム学習論」研究の環境整備にご支援を

藤本 徹
FUJIMOTO Toru

情報学環 准教授

藤本 徹

意欲が湧かない、集中力が続かない、一人だと取り組めない……何かを学ぶときに多くの人が感じたことがある難しさ。人によっては苦痛に感じる「学び」を、ゲームの要素や手法を取り入れることで楽しいものにする、というプロジェクトに取り組むのが情報学環の藤本徹先生の研究室です。「ゲーム学習論」というテーマで、学習コンテンツの開発や教育プログラムのデザインなどを行っています。

「楽しく参加する、遊び心をもって活動するという意味をもつ『プレイフルネス』という概念があります。学びに参加する仕組みや、ゲーム的なやってみたくなる仕掛けを学習コンテンツなどに実装することで、プレイフルに参加できるようにしよう、というのが私たちが取り組むプロジェクトです」

研究室の活動は大きく分けて3つ。教育の場で使うゲーム型教材の開発、それらを使ったオンライン教育などの実践、そしてゲームの要素を取り入れた学びの場で起きている変化についての調査研究です。これまで子ども向けのワークショップの開催や、ゲーム会社との共同研究なども行ってきました。

「マインクラフト教育版」をプレイする子どもたち
2024年7月のワークショップでは、「マインクラフト教育版」を使ったチーム対抗バトルで子どもたちが白熱。
保護者の皆さんが質問を投げかけている様子
保護者の皆さんはゲームと教育の関係について熱心に質問を投げかけていました。

プレイフルな社会を実現する上で大切なのが、この分野の研究者を育成していくことですが、安心して研究できる環境整備ができていないというのが現状です。現在、藤本研究室には修士の学生4人と特任研究員他スタッフ5人が在籍していますが、研究室専用の部屋がないため共用スペースなどを使って勉強しています。パソコンも学生の自前。研究員の継続的な雇用体制も整備できていません。

「学生を地方に連れていき研究活動や自分たちの研究について発表する機会を提供したいと思っています。学会で発表することも非常に大切です。しかし、それには費用がかかります。その予算が十分にないという現状です」

そのような研究環境のなか、2023年11月に開始した東大基金の「プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト」による寄付金のおかげで、学生たちが東京以外の地域に行き、研究を発信する機会を作ることができました。8月に長崎で開催された「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム」では、学生が取り組む研究をショーケース的に紹介したり、来場者に体験してもらったりといった貴重な経験ができました。9月には大阪でも同様のシンポジウムを開催する予定です。

「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」でディスカッションをしている様子
2024年8月開催の「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」の様子。
長崎でのシンポジウム ワークショップの様子
長崎でのシンポジウムでは、学生が開発中の学習ゲームの体験ワークショップやデモ展示が行われました。

今後も継続的にこのようなイベントを開催し、社会的な貢献にもつなげていきたいと話す藤本先生。目指すのは、様々な人たちが自発的に楽しく学び、活力をもって社会参加することができる機会を作ること。「その人の成長や幸福感といったウェルビーイングにつながるような仕掛けづくりを充実させていきたいです」

『シリアスゲーム』

藤本先生の編著書
『シリアスゲーム』別ウィンドウで開く(コロナ社、2024年)

ゲームを取り入れた社会課題解決やゲームを入口とした学びの場づくりについて紹介する一冊。

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