究極の表面観察 ― 酸化チタン表面原子の直接観察に成功 ―研究成果

究極の表面観察 ― 酸化チタン表面原子の直接観察に成功 ―
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究極の表面観察 ― 酸化チタン表面原子の直接観察に成功 ―
10月24日付けScience誌上で発表
発表概要:
東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構 柴田直哉助教(科学技術振興機構さきがけ研究員)・幾原雄一教授((財)ファインセラミックスセンターナノ構造研究所 客員主管研究員/東北大学原子分子材料科学高等研究機構(以下WPI-AIMR)教授)らの研究グループは、酸化チタン表面原子の直接観察に成功し、これまで不明であった表面構造を原子レベルで解明した。本研究により、触媒をはじめとする酸化チタン材料の原子スケールからの機能制御に大いなる進展が期待できる。本研究の成果は、10月24日(金)付の米国科学雑誌”Science”で発表される。
発表内容:
酸化チタン(TiO2)は、触媒、太陽電池、バイオセラミックスなど環境に優しい材料として期待されているが、そのユニークな機能の発現には結晶表面が極めて重要な役割を担っている。しかしながら、これまでTiO2の表面構造を原子レベルで詳細に決定することは極めて困難であった。今回、東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構の柴田直哉助教(科学技術振興機構さきがけ研究員)・幾原雄一教授((財)ファインセラミックスセンターナノ構造研究所 客員主管研究員/東北大学WPI-AIMR教授)らの研究グループは、最先端の原子直視型透過電子顕微鏡を用いることで、TiO2表面原子の直接観察に成功し、複雑な3次元表面原子構造を世界に先駆けて解明した。このブレークスルーにより、表面構造と機能の関係を本質的に理解することが可能となり、触媒をはじめとする新材料開発に拍車がかかるものと期待できる。
本研究は、文部科学省特定領域研究「機能元素のナノ材料科学」(領域代表者:東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構 幾原雄一教授)、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業個人型研究さきがけ「界面の構造と制御」(研究総括:東京大学大学院新領域創成科学研究科 川合眞紀教授)の支援により行われた。
発表雑誌:
Science、10月24日号
注意事項:
Scienceの規定により、マスコミ解禁時間:
日本時間 10月24日(金) 午前3:00 (新聞は、10月24日朝刊)
問い合わせ先:
東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構
(〒113-0032 東京都文京区弥生2-11-16)
柴田 直哉(シバタ ナオヤ)助教
幾原 雄一(イクハラ ユウイチ)教授
用語解説:
酸化チタン(TiO2)
光触媒、触媒担体、センサー、電子部品、顔料等さまざまな用途に用いられる機能材料。近年、環境材料として注目されている。
原子直視型透過電子顕微鏡
加速した電子を試料に透過させることにより、試料の原子構造を直接観察する顕微鏡。電子を1,000kV以上の高加速電圧で加速することにより、電子の波長を極限まで短くし分解能を高めた超高圧電子顕微鏡や1オングストローム以下程度まで細く収束させた電子線を試料上で走査し、試料により透過散乱された電子線の強度で、試料中の原子位置を直接観察する走査透過型電子顕微鏡などがある。
添付資料:
別紙(研究成果の詳細:計7ページ)