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人類の政治体制の長期的な変遷には循環的なパターンがある研究成果

人類の政治体制の長期的な変遷には循環的なパターンがある

平成22年10月14日

報道関係各位

東京大学大学院総合文化研究科

「人類の政治体制の長期的な変遷には循環的なパターンがある」

発表者:
東京大学大学院総合文化研究科進化認知科学研究センター
    研究員 Thomas Currie (トーマス カリー)
    教 授 長谷川 寿一 (ハセガワ トシカズ)

解説:
 最終氷河期の終了まで、人類は血縁関係で結ばれた小規模社会で生活してきた。一方、現代人である我々は、国家と呼ばれる複雑な大規模社会の中で暮らしている。この間の政治体制の変化(具体的には、小規模血縁集団、部族社会、首長社会、国家の間の変遷)が、循環的なパターンあるいはプロセスであったのか、あるいは飛躍的、もしくは一方向的なパターンだったのかについては、長らく議論が続いてきた。この問いに対して、Thomas Currie(大学院総合文化研究科進化認知科学センター・研究員およびロンドン大学・研究員)と共同研究チーム(東京大学・ロンドン大学・オークランド大学)は、進化生物学の手法を用いた新たなアプローチで解決を試みた。共同研究チームは、東南アジア島嶼部および太平洋の伝統社会の政治体制に関するデータベースを構築し、それを同地域の言語データベースから描かれた文化の歴史系統樹と突き合わせて検討した。その結果、この地域の約5500年間にわたる政治体制の変遷を明らかにすることができた(図1参照)。統計的計算手法を用いて、様々なモデル(図2参照)の適合性を検証した結果、最もよく適合したモデルは、小刻みに複雑性が増すモデルであった。さらに重要な発見として、これらのモデルを用いることにより、政治体制の複雑性が減衰するプロセスも説明できた。本研究の意義としては、計算論的アプローチを用いることによって、長期的な社会進化や文化進化に関する仮説を検証できることを示した点を指摘できる。

※詳細はリリース文書をご覧下さい。

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