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水滴の転落角がわずか20度の滑水性無機酸化物薄膜を合成 -自動車フロントガラスなどへの応用期待- 研究成果

水滴の転落角がわずか20度の滑水性無機酸化物薄膜を合成
-自動車フロントガラスなどへの応用期待-

2009年1月20日
国立大学法人東京大学
先端科学技術研究センター

• 水滴防止剤などに用いられる有機物コーティングは耐久性が乏しく、撥水性の寿命が問題になっていた
• 東大先端研渡部俊也教授らの研究グループは、無機薄膜でもわずかな傾きで水滴が転落する優れた滑水性表面を得ることに成功した
• 実現性のポイントは動的撥水性の理論に基づき、表面のナノメートル単位での平滑性や、最表面の物理的・化学的性質の均一性の制御による
• 今後は、新たな水滴除去材料として自動車ガラス製品や、汚れ防止製品などへの実用が期待される


無機物の表面は有機物よりも水を弾かない親水性であるという性質を有します。そのため水滴の除去性は有機物、特に撥水性の高いフッ素樹脂やシリコーン樹脂が優れているため、車のフロントガラスの水滴防止剤などにはこれらの有機コーティングが用いられてきました。しかしこれらの有機物コーティングは耐久性が乏しく、撥水性の寿命が問題になっていました。

しかしこのたびNEDO循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクトの一環として行われた研究で、国立大学法人 東京大学先端科学技術研究センター(以下「東大先端研」)の渡部俊也教授らの研究グループは無機薄膜でもわずかな傾きで水滴が転落する優れた滑水性表面を得ることに成功しました。この様な表面を得るためのポイントとしては、渡部教授らの動的撥水性の理論に基づき、表面のナノメートルオーダーの平滑性や、最表面の物理的・化学的性質の均一性の制御などによって成し遂げられたものです。この作成プロセスとしては、東大先端研に設置された産学プロジェクトにおいて開発された基本特許を用いることで最も優れた性質が発揮されることが分かっています。この薄膜の耐久性はガラスなどとほぼ同等と考えられ、さらに光触媒効果と組み合わせて汚れを防止することで滑水性を長期間維持することも可能なことから、新たな水滴除去材料として自動車ガラス製品や、汚れ防止製品など様々な用途が期待されます。

渡部教授らはこのような水滴除去性に優れた表面を「超滑水性表面」とよび、さらに性能を向上させる研究を進める予定です。

国内外の反響
国内:日本学術会議講演会に招待講演
海外:AVS、その他3件の国際会議で招待講演
 
実用化への計画
4月以降NEDOプロジェクトに参加しているガラスメーカーなどに評価サンプル提供を開始する予定。
 
添付資料■PDF:156KB
 
■本件問い合わせ先 
東京大学先端科学技術研究センター
渡部 俊也 教授

 
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