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視覚と聴覚で異なる時間判断の仕組みの一端を解明 - 時間の錯覚:時間を誤って判断してしまう仕組み - 研究成果

掲載日:2019年3月7日

◆ポイント◆
  • ある出来事と同時に見えたと思った映像が、実際にはいつ出現していたのか計測
  • 同時に見えたと感じる時刻は、その出来事が光か音かによって異なることが判明
  • ヒューマンエラーによる事故やトラブルの研究に貢献する可能性

◆概要◆
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】人間情報研究部門【研究部門長 佐藤 洋】ニューロリハビリテーション研究グループ 林 隆介 主任研究員は、国立大学法人 東京大学【総長 五神 真】大学院人文社会系研究科 村上 郁也 教授とともに、脳内の処理経路や処理時間が異なる感覚情報が、どのように統合されて、「我々が感じる現在」=主観的な現在が構築されるのか、その仕組みの一端を明らかにした。
 錯覚にはさまざまな種類がある。フラッシュラグ効果も錯覚の一つで、ある出来事と同時に見えたと“思った”映像が、実際には異なる時刻の映像である錯覚として知られる。今回、この錯覚をヒントに、心理学的逆相関法という手法を用いて、どの時刻の映像が、ある出来事(突然のフラッシュ光やクリック音の出現)と同時だと判断されるのかを計測した。その結果、フラッシュ光と同時に見えたと思った映像の実際の時刻と、フラッシュ光の時刻とのずれは、その映像を脳が処理する時間に依存して、映像の種類ごとに異なることがわかった。一方、視覚と聴覚の情報は直接統合できないため、クリック音と同時だと判断されるのは、映像の種類によらず、音に気付いた時刻(=音の実際の時刻より後)の映像を同時と判断することがわかった。実験によって得たこれらの発見により、身近な錯覚の背後にある、人間が時間を判断する仕組みの一端が明らかになった。この研究成果は、ヒューマンエラーによる事故やトラブルの防止への貢献が期待される。
 
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映像の種類によって同時と判断される時刻が異なることを発見

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論文情報

Ryusuke Hayashi, Ikuya Murakami , "Distinct mechanisms of temporal binding in generalized and cross-modal flash-lag effects," Scientific Reports: 2019年3月7日, doi:10.1038/s41598-019-40370-7.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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