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色字共感覚の色は文字についての知識を反映している研究成果

掲載日:2019年10月21日

 立教大学現代心理学部浅野倫子教授と東京大学大学院人文社会系研究科横澤一彦教授による「色字共感覚の色は文字についての知識を反映している」点に関する研究成果が、『Philosophical Transactions of the Royal Society B』(英国時間10月21日)に掲載されました。
 
 色字共感覚とは、一般人口の1~2パーセントの人が持つ、文字を見ると特定の色の印象を感じるという認知特性のことです。従来、文字と文字に感じる色(共感覚色)の組み合わせは安定しており、変化しないと言われてきました。しかし、立教大学現代心理学部の浅野倫子准教授と東京大学大学院人文社会系研究科の横澤一彦教授らは、共感覚色が文字の読みや意味についての知識の変化に伴って更新されることを認知心理学実験によって示し、色字共感覚と言語処理に密接な関係があることを明らかにしました。一部の人だけが持つ色字共感覚は、人間の脳の働きかたが人によってさまざまであることを示す現象です。本研究の成果は、色字共感覚のメカニズムの解明を通して、そのような多様性も含めた人間の脳の情報処理メカニズムの全貌解明に貢献するものです。
ある色字共感覚者1名が回答した共感覚色の例
【注1】 色字共感覚について
 文字に色を感じる色字共感覚(しきじきょうかんかく)は、音楽に色を感じる色聴共感覚、数字に特定の空間配置を感じる数型共感覚などと同じく、一般的にはつながりが感じられない情報処理間(例:文字と色)に、あえてつながりを考えようとしなくても自動的につながりが感じられ、意識に上る現象である共感覚の一種です。共感覚は日常生活に支障をきたすような病気でも、超能力でもありません。文字と共感覚色の組み合わせは、「り」という文字にローズピンク色を感じる人もいれば、緑色を感じる人もいるというように、色字共感覚者によってさまざまです。共感覚色の感じ方も色字共感覚者によって違い、見ている文字の付近に塗られた色を見ているのに近い感覚を持つ人もいれば、文字の付近には色があるようには感じないけれども頭の中に色の印象が広がるという人もいます。
 

論文情報

Michiko Asano, So-ichiro Takahashi, Takuya Tsushiro, & Kazuhiko Yokosawa, "Synaesthetic colour associations for Japanese Kanji characters: from the perspective of grapheme learning," Philosophical Transactions of the Royal Society B ,Vol. 374,No. 1787: 2019年10月21日, doi:10.1098/rstb.2018.0349.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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