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「人を見る目」の世代間比較研究成果

掲載日:2025年11月11日

発表のポイント
◆ 顔から他者の信頼性を判断する際の正確性とバイアスを、高齢者と若年者で比較しました。
◆ 判断の正確性は全体として低いものの、高齢者の方が相対的に高いか、若年者と同程度でした。一方、若年者では「信頼できない」と判断しやすいバイアスが一貫して見られました。
◆ これらの結果は、高齢者は第一印象で他者を信頼しすぎるというステレオタイプ的な見解が妥当でないことを示しています。

ChatGPT-5で生成した「信頼できない印象を与える男性の顔」と「信頼できる印象を与える男性の顔」
これらの画像は、実際に信頼できない/できる男性の顔を示すものではなく、人々が信頼性について抱くステレオタイプ的な顔イメージを視覚化した例です。

概要
 東京大学大学院人文社会系研究科の鈴木敦命准教授、帝京大学文学部心理学科の石川健太講師、専修大学大学院文学研究科の大久保街亜教授の研究グループは、日本人とイギリス人を対象とした心理学実験を通じて、「人を見る目」の世代間差を明らかにしました。
 人には、他者がどの程度信頼できるかを顔から判断する傾向があります。本研究では、こうした「顔による信頼性判断」の世代間差を検討するため、ゲームでどの程度協力的に振る舞ったかや、汚職による有罪歴の有無がわかっている男性の顔画像を用い、若年者と高齢者の間で信頼性判断を比較する実験を行いました。その結果、非協力的な人や汚職歴のある人とそうでない人を識別する正確性は、全体として低いものの(正答率 平均55%前後)、相対的には高齢者の方が高いか、世代間で差がないことが示されました。また、「信頼できない」と判断しやすいバイアスが若年者で一貫して認められました。これらの結果は、高齢者は第一印象で他者を信頼しすぎるというステレオタイプ的な通説に疑義を投げかけるものです。

論文情報

Atsunobu Suzuki, Kenta Ishikawa, and Matia Okubo, "Neither inaccurate nor biased in later life: Age-related differences in the accuracy and bias of facial trustworthiness judgment," Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America: 2025年11月11日, doi:10.1073/pnas.2512093122.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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