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外国語習得の脳科学的効用 ~多言語の方が二言語より脳活動が活発~ 研究成果

掲載日:2021年3月31日

 東京大学大学院総合文化研究科教授の酒井 邦嘉と同大学院生の梅島 奎立は、一般財団法人 言語交流研究所(本部:東京都渋谷区、代表理事:鈴木 堅史)との共同研究において、多言語話者の方が言語野はもちろん、大脳基底核・視床や視覚野までも有効に活用できているということを初めて明らかにしました。
 本研究グループは、日本語を母語とする参加者に対してカザフ語を新たに習得させ、MRI装置(注1)と文法課題を用いて言語習得のプロセスを調べました。その結果、左脳の言語領野の活動が、多言語群で二言語群よりも定量的に高くなりました。これらの結果は、複数の言語の習得効果が累積することで、より深い獲得を可能にするという仮説「言語獲得の累積増進モデル」を支持します。この仮説は、共著者の一人であるスザンヌ・フリン(米国マサチューセッツ工科大学 教授)がこれまで提唱してきたものです。日本の外国語教育で英語ばかりが取り上げられがちな中、多言語の音声に触れながら自然に習得することの重要性が科学的に明らかとなりました。この自然習得法は、今年で40周年を迎える言語交流研究所・ヒッポファミリークラブが多言語活動を通して実践してきたものであり、今回初めて脳科学による裏付けが得られたことになります。


(注1)MRI装置
 MRI(磁気共鳴映像法)は、脳の組織構造を、水素原子の局所磁場に対する応答性から測定し画像化する手法で、全く傷をつけずに外部から脳組織を観察する方法として広く使用されています。そのために使用する医療機器が、超伝導磁石によって高磁場(3テスラ程度)を発生させるMRI装置です。注2で述べる「fMRI」でも、このMRI装置を使用します。
 

論文情報

Keita Umejima, Suzanne Flynn, Kuniyoshi L. Sakai*, "Enhanced activations in syntax-related regions for multilinguals while acquiring a new language," Scientific Reports (Nature Portfolio Journal): 2021年3月31日, doi: 10.1038/s41598-021-86710-4.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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