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バイオナノマシーンの運動の左右対称性を破る分子機構に迫る ~ミクロな発動分子マシーンの設計に向けて~ 研究成果

掲載日:2021年2月10日

 我々の体を構成する細胞の中では、所狭しと10ナノメートル(1ミリメートルの10000分の1)ほどの大きさのタンパク質からなるバイオナノマシーンが働いています。これらバイオナノマシーンは、人間が作るマシーンとどことなく似ているようにも見えますが、その動く仕組みは似て非なるものです。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻・附属先進科学研究機構および同大学生物普遍性連携研究機構の矢島潤一郎准教授のグループは、Warwick Universityの三嶋将紀准教授、東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授らのグループとともに、3次元位置検出光学顕微技術、微細加工技術、数理解析を用いて、バイオナノマシーン・キネシン-6の運動解析に取り組み、キネシン-6の運動の場となる細胞骨格上でキネシン-6が前後・左右方向に確率的にステップし、そのステップ方向にバイアスがあることを明らかにしました。本研究成果は、人工マシーンのようなステップ方向が決定的となっている機構とは異なり、バイオナノマシーンのステップの左右性の選択には揺らぎが内在し、バイオナノマシーンなどの生体試料からミクロな発動分子を設計するための指針を与えるものとして期待できます。

論文情報

Yohei Maruyama, Mitsuhiro Sugawa, Shin Yamaguchi, Tim Davies, Toshihisa Osaki, Masahiko Yamagishi, Shoji Takeuchi, Masanori Mishima* & Junichiro Yajima*, "CYK4 relaxes the bias in the off-axis motion by MKLP1 kinesin-6," Communications Biology: 2021年2月10日, doi:10.1038/s42003-021-01704-2.
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