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体サイズ進化によるオスの繁殖戦術の変化研究成果

掲載日:2021年7月21日

 動物の体サイズは繁殖生態と密接に関係している。甲虫ヒメオサムシは九州において体サイズに地理的変異を示し、温暖で幼虫期の餌であるミミズが大きい環境で大型化する。東京大学大学院総合文化研究科の奥崎穣講師は、ヒメオサムシのオスが大きい個体ほど大きい生殖腺(精巣など)を持つ一方で、精包重量(射精量)はその体サイズ変異の影響を大きく受けないこと、そして大きいオスほど交尾時間が短いことを発見した。大型化により精包生産量が増加した集団のオスは交尾頻度を高めることで子供の数を増やし、体サイズの小さい集団のオスは長時間の交尾によりメスの再交尾を防ぐことで父性を確保していると予想される。こうした繁殖戦術の変化はオス-オス間、オス-メス間の相互作用の在り方と強さを変えるだろう。本研究により、生態環境の多様性が体サイズ進化を通して、性的な特徴の多様化をもたらす潜在性を秘めていることが示された。

論文情報

Yutaka Okuzaki*, "Effects of body size divergence on male mating tactics in the ground beetle Carabus japonicus," Evolution: 2021年7月20日, doi:10.1111/evo.14302.

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