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取り込む分子の大きさ・形・電荷に応答して膨らんだり縮んだりする分子カプセル記者発表

掲載日:2018年10月31日

 東京大学大学院総合文化研究科の平岡秀一教授らの研究グループが開発した、分子を取り込むと、相手の分子の大きさ・形・電荷に敏感に応答し、自分の大きさを膨張させたり収縮させたりする人工の分子カプセルの記者発表を、2018年11月5日駒場Iキャンパスで行いました。


発表概要:

 東京大学大学院総合文化研究科の平岡秀一教授らは、立命館大学、東京工業大学の研究グループと共同で、分子を取り込むと、相手の分子の大きさ・形・電荷に敏感に応答し、自分の大きさを膨張させたり収縮させたりする人工の分子カプセル(分子ホスト)を開発しました。今回開発した分子カプセルは、歯車のような形をした両親媒性分子(注1)6つが互いに噛み合ってできた1辺2 nm(ナノメートル)ほどの立方体形分子(ナノキューブ)で、内部に1 nm径ほどの疎水性の空間が存在します。6つの歯車状分子は強い化学結合を介して連結していないので、比較的自由に相対位置を変化させることが可能で、内部空間に分子を取り込むと、相手分子に適合するように、自分自身の大きさや形を変化させます。電気的に中性な分子(中性ゲスト分子)を取り込むと、ナノキューブはゲスト分子の体積に応じて膨張し、陰イオン性の分子を取り込むと、収縮することがわかりました。生命系では分子を取り込むと分子ホストの形が変化し、これが他の分子に対するシグナルとなり、さまざまな分子が統合的に機能しています。ナノキューブのように高い応答性を示す人工ホスト分子は珍しく、この特性を利用して生命系に見られるような分子システムの開発が期待されます。
 

用語解説:
(注1)両親媒性分子: 1つの分子の中に親水部と疎水部をもつ分子で、水に溶かすと疎水効果により集合体を形成する。石鹸や細胞膜は両親媒性分子から作られている。

 

ナノキューブの形成の模式図。
6つの歯車のような形をした分子が噛み合って、1辺約2 nmの立方体形の集合体を形成する。

論文情報

Yi-Yang Zhan, Tatsuo Kojima, Takashi Nakamura, Toshihiro Takahashi, Satoshi Takahashi, Yohei Haketa, Yoshiaki Shoji, Hiromitsu Maeda, Takanori Fukushima, Shuichi Hiraoka, "Induced-fit expansion and contraction of self-assembled nanocube finely responding to neutral and anionic guests," Nature Communications オンライン版: 2018年10月31日, doi:10.1038/s41467-018-06874-y.

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