コロナ禍における東京都郊外部庭園観光の動向 ――管理運営者のオーバーツーリズムとアンダーツーリズムに対する意識――研究成果
掲載日:2022年9月29日
発表者
下山田 翔(東京大学 大学院総合文化研究科 附属国際交流センター 特任助教)
発表のポイント
- コロナ禍では全国的に観光業界が衰退し、「アンダーツーリズム」と呼ばれる状態に陥っていたものの、東京都郊外部の庭園の一部はプレコロナ期に比べて来園者数が増加した。
- 一部の郊外部庭園に対する人気が上昇していることが示唆されたものの、庭園管理運営者は観光客の増加と集中によって引き起こされるさまざまな問題、すなわち「オーバーツーリズム」に対する危機意識が希薄であることが明らかになった。
- プレコロナ期に表面化していた「オーバーツーリズム」を未然に防ぐための方策を提案し、持続可能なかたちで観光を再興させる契機となることが期待される。
発表概要
東京大学 大学院総合文化研究科の下山田 翔 特任助教は、コロナ禍における東京都郊外部庭園観光の実態を調査しました。
コロナ禍では全国的に観光業界が衰退し、「アンダーツーリズム(注1)」と呼ばれる状態に陥っていたものの、東京都郊外部の庭園の一部はプレコロナ期に比べて来園者数が増加したことが明らかになりました。しかし、郊外部の庭園管理運営者は「オーバーツーリズム(注2)」と呼ばれる、観光客の増加と集中によって引き起こされるさまざまな問題を差し迫って起こりうる危機だとは認識していないことが明らかになりました。
本研究は、近年世界的に問題意識の高まっているオーバーツーリズムとアンダーツーリズムに対する認識を合わせて調査した、数少ない実証研究です。
本研究の成果は、プレコロナ期の観光で浮き彫りとなった問題点を踏まえて、ポストコロナ期においていかにして持続可能なかたちで観光を復興させていくかを検討する契機となることが期待されます。
本研究の成果は2022年9月29日(中央ヨーロッパ夏時間)にEuropean Institute for Advanced Studies in Managementの学会大会「International Conference on Tourism Management and Related Issues」にて報告されました。
発表詳細は大学院総合文化研究科のページからご覧ください。
論文情報
Sho Shimoyamada*, "Perception of overtourism and undertourism in a garden tourism project in suburban Tokyo," International Conference on Tourism Management and Related Issues