PRESS RELEASES

印刷

密に詰め込まれた大きさが極端にばらついた粒子 ――ばらつきによらない普遍的な構造の発見――研究成果

掲載日:2023年2月14日

東京大学 大学院総合文化研究科
東京大学 大学院理学系研究科

発表者

嶋本 大祐(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 修士課程)
柳澤 実穂(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻/大学院理学系研究科 物理学専攻 准教授)

発表のポイント

  • 極端に大きさがばらついた粒子をランダムに詰め込んだ際の、ばらつきによらない共通した構造と、より密に詰め込むためのばらつきの条件を発見しました。
  • 大きさが極端にばらついた粒子集団では、個々の粒子の大きさの影響が弱まることで、粒子全体のばらつきにはよらない共通した構造が現れることを見出しました。
  • 岩石や土砂の粒、生物細胞に含まれる分子など、ばらつきが極めて大きな粒子が密に詰め込まれた系の理解や構造の制御に貢献すると考えられます。

発表概要

 極端に大きさがばらついた粒子がランダムに詰め込まれた構造は、目にみえる岩石や土砂の粒から目にはみえない細胞に含まれる分子まで、自然界に広く見られます。こうした構造の特性を明らかにすべく研究が進められてきましたが、自然界にみられる系のような、極めて大きなばらつきが密な構造へ及ぼす影響は理解が進んでいませんでした。

 東京大学大学院総合文化研究科の嶋本大祐大学院生と柳澤実穂准教授は、粒子の大きさのばらつきが極端に大きい例として、大きさが「べき分布」にしたがう円形粒子をランダムに詰め込んだ際の構造を実験の数値計算から調べ、ばらつきがもたらす特有の性質を明らかにしました。各粒子が他の粒子と接している点の個数の分布が、粒子の大きさの分布(ばらつき)によらないことや、より密な構造をつくるばらつきの条件を見出しました。

 今回の発見は、自然界にみられる土砂や細胞内分子などを、極端に大きさがばらついた粒子集団とみなすことで、ばらつきの背後に潜む系に共通した構造や性質の発見につながることが期待されます。

 本研究成果は、2023年2月10日(米国東部時間)に「Physical Review Research」のオンライン版で公開されました。
 

図.シミュレーションから得られた、べき数aが異なるべき分布に従う粒子の配置(上)とそれぞれが示す接触点数の分布ν(z)(下)。ν(z)もべき分布となり、そのべき数は a < 3の条件では粒子半径のべき数aによらず、一定値となる。
 

発表詳細

大学院総合文化研究科のページからご覧ください。

論文情報

Daisuke Shimamoto, Miho Yanagisawa*, "Common Packing Patterns for Jammed Particles of Different Power Size Distributions," Physical Review Research: 2023年2月10日, doi:10.1103/PhysRevResearch.5.L012014.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

関連リンク

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる