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遺伝情報を長期保存できる昆虫標本の作製方法を新たに開発 - 「遺伝資源」としての昆虫標本を次世代に - 研究成果

掲載日:2019年12月24日

中濵直之 兵庫県立大学自然・環境科学研究所講師、井鷺裕司 京都大学大学院農学研究科教授、伊藤元己 東京大学大学院総合文化研究科教授らの研究グループは、遺伝情報の維持が難しかった昆虫の乾燥標本について、遺伝情報の劣化を防ぐ作製手法を新たに開発しました。昆虫の乾燥標本は、通常作製から数カ月ほどでDNA (注1) が劣化することから、これまでDNAを用いた解析は非常に困難でした。
本研究では、昆虫の乾燥標本に0.2mlチューブとプロピレングリコールを用いて長期間遺伝情報を保持できる手法を開発いたしました。本手法は、安価かつ入手の容易な材料で、簡単に作製できることから、今後本手法が愛好家の皆様や各博物館などで実施されることが期待されます。本手法により遺伝情報が保存された昆虫標本が多数作製されることで、将来的に昆虫標本に遺伝資源としての新たな価値を付与することができます。

本研究成果は2019年12月23日(イギリス標準時間)に、国際科学誌「European Journal of Entomology」の電子版に掲載されました。

用語解説:
(注1)DNA
デオキシリボ核酸の略。アデニン、グアニン、シトシン、チミンから構成されている。RNAとともに遺伝情報を保持している物質で、細胞の核やミトコンドリア内に含まれている。


 

論文情報

Naoyuki Nakahama, Yuji Isagi, Motomi Ito , "Methods for retaining well-preserved DNA with dried specimens of insects," European Journal of Entomology: 2019年12月24日, doi:10.14411/eje.2019.050.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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