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クリエイティブな仲間は自分の創造性を妨げる? - イノベーションとネットワーク構造の少し複雑な関係 - 研究成果

掲載日:2020年1月16日

図2

 ソーシャルなネットワーク構造と情報共有者の創造性がイノベーションの鍵を握ること自体は広く知られています。では、この両者はどのような関係にあるのでしょうか。
 東京大学大学院総合文化研究科の楊大学院生、植田一博教授らの研究チームは、開放的なソーシャルネットワークにいる創造性の高い情報共有者が対象者のイノベーションにポジティブに影響するのに対し、閉鎖的なソーシャルネットワークにいる創造性の高い情報共有者は対象者のイノベーションにネガティブに影響することを明らかにしました(図を参照)。
 具体的には、「Idea Storm」というウェブサイトの6,333名のユーザーのデータ2,213,782件の分析を通して、情報共有相手のアイデア提出実績と情報共有ネットワーク構造が、対象者のアイデア提出にどのような影響を与えているのかを検討しました。
 これまで、ソーシャルネットワーク構造と情報共有者の創造性のそれぞれが対象者のイノベーションに影響すること自体は広く議論されてきました。しかし、先行研究はいずれも個別に検討を行なったもので、この二つの要素の交互作用(相乗効果)に着目した研究はありませんでした。
 本研究成果の示す、開放的なソーシャルネットワーク構造かつ創造性の高い情報共有者がいることがイノベーションを生む鍵であるという知見は、実社会での組織づくりにも貢献するものです。今後はソーシャルなネットワークの中での個人の創造性に関してさらなる検討が進むことが期待されます。

論文情報

Kunhao Yang*, Itsuki Fujisaki, Kazuhiro Ueda*, "Interplay of network structure and neighbour performance in user innovation," Palgrave communications: 2020年1月14日, doi:10.1057/s41599-019-0383-x.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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