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RNAサイレンシングの実行因子であるアルゴノートタンパク質の分解機構を解明 特定の遺伝性疾患の病態理解にも可能性 研究成果

掲載日:2019年7月31日

アルゴノートと呼ばれるタンパク質は、マイクロRNAと呼ばれる小さなRNAと結合することで、きわめて多様な遺伝子の発現を抑制します。この現象はRNAサイレンシングと呼ばれており、発生・免疫・神経機能といった様々な生命現象において重要な役割を果たしています。不思議なことに、アルゴノートはマイクロRNAと結合した状態では安定である一方、マイクロRNAと結合していない「空の」状態ではすぐに分解されてしまいます。しかしながら、一体どのような仕組みで空のアルゴノートを分解しているのかについては、十分に理解されていませんでした。
 
今回、東京大学定量生命科学研究所の小林穂高助教(研究当時)、泊幸秀教授らの研究チームは、空のアルゴノートがオートファジーによって分解されることを見出し、その分解にはVCPと呼ばれる因子が必須であることを見出しました。さらに、VCPを細胞内から無くすと、正常なRNAサイレンシングが起こらなくなることを見出しました。重要な点として、VCPは様々な遺伝性疾患の原因遺伝子として知られています。従って、本研究成果はアルゴノートの分解機構を明らかにしただけでなく、偶然にもVCPの知られざる機能を発見したという点において、将来的にVCPの関連疾患(IBMPFD、ALS、パーキンソン病など)の病態理解にも貢献する可能性があると期待されます。


 
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