令和4年度 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(専門職学位課程)入学試験の筆記試験(専門科目)における出題ミスについて記者発表
掲載日:2021年9月10日
令和4年度 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(専門職学位課程)入学試験の筆記試験(専門科目)における出題ミスについて
東 京 大 学
このたび、令和4年度大学院医学系研究科入学試験において、公共健康医学専攻(専門職学位課程)における筆記試験(専門科目)の問題の一部に出題ミスがあることが判明しました。出題ミスの内容、発見の経緯及び本学の対応は次のとおりです。
なお、入学試験の合否判定においては、不利益を被る受験者がないように措置いたしました。
1.入試実施の概要
○試験実施日 令和3年8月16日(月)10時30分~11時30分
筆記試験(専門科目)※オンライン実施
令和3年8月19日(木) 口述試験 ※オンライン実施
※事前提出された小論文(25点)、英語(TOEFLなどのスコア、30点満点で換算)に加えて筆記試験<専門科目>(40点)、口述試験(40点)の計135点満点で評価を行った。筆記試験は、在宅入試監視システム(オンライン)のもとで実施され、公衆衛生学一般25問、統計学15問からなり、計40問全てが回答必須(全て5択問題)であった。試験はオンラインで画面表示された設問に解答していく方法である。
○合格発表日時 令和3年9月3日(金)正午
○受験者数 66名
2.出願ミスの内容
令和3年8月16日(月)に実施した、筆記試験(専門科目)の第1問(公衆衛生学一般)で次のようなミスが生じた。
問題及び解答の選択肢は全て日英併記となっているが、問題文の一部に日本語と英語の西暦の年の表記が一致していない箇所があり、誤った表記が含まれる英語のみを見て回答すると、正しい正答を導き出せない設問となっていた。なお、日本語の表記に誤りはなかった(ミスのあった設問は下記のとおり。誤りの箇所は下線。正しくは「2019」。)。
(問)
(解説)
2019年は1位 悪性新生物、2位 心疾患、3位 老衰、4位 脳血管疾患、5位 肺炎、6位 誤嚥性肺炎、7位 不慮の事故、8位 腎不全、9位 脳血管性認知症、10位 アルツハイマー病で、正解は3であった。一方で、2013年当時は1位 悪性新生物、2位心疾患、3位 肺炎、4位 脳血管疾患 などとなっており、2013年の死因順位では複数該当する選択肢が存在する状態となっていた。
3.出題ミスの発見の経緯
試験時間中及び試験後に受験者からの指摘はなかったが、筆記試験(専門科目)の採点結果の集計中(8月17日)、集計責任者が設問と点数を照合している際に英語の誤記載に気づき、作問委員に確認し、出題ミスであることを確認した。
4.出題ミスへの対応
試験は事前提出の小論文・英語(外部試験スコアの提出)、8月16日実施の筆記試験(専門科目)、8月19日実施の口述試験からなっていた。受験者66名のうち、小論文・英語・筆記試験(専門科目)の合計点数の上位者のみが19日の口述試験に進むが、8月18日の一次判定を実施する前までに上述出題ミスが判明したため、当該設問について採点対象外とし、受験者全員に当該設問分の1点を加点したうえで、一次判定を実施した。加点の有無にかかわらず一次判定に変わりがないことを専攻担当者全員で確認した。上位39名について19日に口述試験を実施し、同日、口述試験の結果を踏まえ最終判定を行い、合格者を決定した。
なお、公共健康医学専攻(専門職学位課程)筆記試験受験者全員に対して、9月3日(金)の合格発表日当日、出題ミスの発生及び出題ミスの内容や対応をメ―ルにて連絡した。
5.出題ミスが発生した原因
コロナ禍に伴い対面試験実施が困難と判断したことから、今年度初めて在宅入試監視システムを導入し、筆記試験を実施した。作問のチェック作業は対面試験と同様の回数を実施し、在宅入試監視システムへのアップロードやそのレイアウト確認のためにさらに確認回数を増やしていたものの、当該設問は昨年度入試のために作成し、出題しなかった設問であり、昨年度の作成段階で数回チェックを行い試験問題として校了していたという先入観から、チェックの際の気づきを妨げたと考えられる。また、在宅入試監視システムの導入により、問題のアップロード以降は、システムのアクセスや解答形式などのシステム的なチェックに目を奪われたことも原因と考えられる。
6.再発防止対策等
今後は、入試問題の作成に当たってこのようなことが再発しないよう、今回のミスが発生した経緯を関係教員間で共有するとともに、特にミスが多く発生しやすい事例を示すなど、チェック用マニュアルを見直す。なお、来年度以降、在宅試験監視システムを用いるかどうかは未定であるが、システムを利用した実施の経験不足や、実施体制の大幅な変化等に対応できていなかったことも今回の出題ミスの要因の一つと考えられる。今回の実施により明らかになった課題を含め、オンライン特有の留意事項にも配慮した基本的な実施体制を確立する。