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薄紫色の表紙

書籍名

ものづくり改善入門

判型など

226ページ

言語

日本語

発行年月日

2017年4月27日

ISBN コード

978-4-502-22931-2

出版社

株式会社中央経済社

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ものづくり改善入門

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この本は、藤本が2001年に出版した「生産マネジメント入門」(日本経済新聞社) のいわばダイジェスト版として「藤本監修」で作られた本である。そこで、元の本の中身を説明した上で、その後、なぜその短縮版が必要になったのかを説明する。
 
「生産マネジメント入門」は、藤本が東京大学経済学部で二十数年教えている「経営管理」「生産システム」(途中で名称変更) の教科書として書かれたものである。授業で言えば50時間近くに対応するので、全2巻、合計約750ページの分厚い本だ。中身は、技術管理・生産管理を「生産資源の間を流れる設計情報 (付加価値) の流れの良さ」を追求する「広義のものづくり」論の観点から一貫して説明している。こうした「流れ」発想重視の教科書は、世界的に見てもあまりなく、現在、中国語版、英語版の出版準備が進んでいる。
 
日本では、生産管理は主に工学系の科目であり、そのコアはフレデリック・テイラー以来のインダストリアルエンジニアリング (IE) あるいはオペレーションズリサーチ (OR) である。これらは細目に分かれて発達し、精緻なモデル分析が行われている。ハーバード大の技術生産管理 (TOM) 出身の藤本も米国の生産管理論 (Production and Operations Management) の教科書で勉強してきた者であり、細部における動作研究、在庫分析、検査設計等の概略の説明は藤本の教科書にも織り込んでいる。
 
しかし、「生産マネジメント」の特徴は、これらを「競争力とその改善」という観点からトータルシステムとして論じるということである。すなわち、まず概論と歴史分析を行った上で、設計情報の転写である生産の現場の「設計情報の流れの良さ」を示す生産性とコスト (C)、生産リードタイム (T) と納期、製造品質 (Q) と顧客満足、変化に対するフレキシビリティ (F) の4つ、つまりQCTFについて、その概念、測定、管理、改善について説明する。次に、「生産資源の維持と改善」に関して、現場の人的資源管理 (Man / Woman)、設備管理 (Machine)、および購買管理 (Material) のいわゆる3Mについて、それらの構築・維持・改善のサイクルを論じる。最後に、設計情報自体の創造過程である製品開発について、総論、開発期間 (Time)、開発生産性・開発コスト (Cost)、設計品質・商品力 (Quality)、つまり開発のQCTの管理と改善を論じる。
 
さて、2005年以降、東大ものづくり経営研究センターでは、現場改善の先生を育成する師範学校である「ものづくりインストラクタースクール」を開設し、現在は十数カ所の自治体の地域スクール開設・運営の手伝いもしている。さらに、一般社団法人「ものづくり改善ネットワーク (MKN)」を設立し、地域スクール間のネットワーク作りや指導者養成を行っている。これらの多くは「生産マネジメント入門」を教材として使っているが、750ページはしんどいという声もあるので、MKNの福田隆二事務局長や横井編集者を中心に縮約版を作った。それがこの「ものづくり改善入門」である。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 藤本 隆宏 / 2019)

本の目次

はじめに
  1. ものづくりの基礎概念
    1. 「ものづくり」とは何か?
    2. 「ものづくり」とは設計情報の転写である
    3. 改善活動は良い流れづくり
    4. 現場を見る視点
    5. ものづくり改善インストラクターをめざす方へ
  2. ものづくりの競争力
    1. 「競争」とは
    2. 企業・現場のあるべき姿の指標化
    3. 表の競争力と裏の競争力
    4. ものづくり組織能力の構築
  3. プロセス分析
    1. 生産プロセスの記述
    2. 工程流れ図
    3. ボトルネックを見つける
    4. ものと情報の流れ図
    5. 時間軸に沿ったプロセス記述
    6. パフォーマンスの測定
  4. コストと生産性
    1. 原価管理と原価企画
    2. 生産性の概念とその測定
    3. インダストリアルエンジニアリング (IE) の諸手法
    4. 管理と改善
    5. ものづくり現場におけるコストダウンの方向性
    6. 兆候のリスト
  5. 納期と工程・在庫管理
    1. 納期
    2. 工程管理
    3. 在庫管理
    4. 工程改善策
  6. 品質管理
    1. 品質の概念
    2. 品質の測定
    3. 品質不良の概念
    4. 品質のコスト
    5. 品質管理
    6. 検査の方法
    7. TQC-TQM
  7. フレキシビリティ
    1. フレキシビリティの概念
    2. 部品のフレキシビリティ
    3. 工程のフレキシビリティ (工程の汎用化)
    4. フレキシビリティの全体最適化, アーキテクチャおよび位置取り戦略

関連情報

書籍紹介:
ものづくり改善入門 (一般社団法人 ものづくり改善ネットワーク)
http://mkn.or.jp/Book2.pdf
 
読書人へのおすすめ (日本経済新聞朝刊 2017年8月5日)
https://www.honyaclub.com/shop/pages/newspaper20170805.aspx
 

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