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白い表紙に薄紫の模様

書籍名

ライブラリ 経済学コア・テキスト&最先端 15 コア・テキスト計量経済学

著者名

大森 裕浩

判型など

376ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2017年12月10日

ISBN コード

978-4-88384-264-3

出版社

新世社

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コア・テキスト計量経済学

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本書は、初めて経済学・経営学の分野で計量経済学を学習する読者、大学では学部の2~4年生を想定しています。その内容は、経済データを分析するために必要な標準的な統計的手法について、統計学の基礎からはじめて回帰分析の説明を行い、ミクロ経済データやマクロ経済データなどのさまざまなデータのための分析手法を、標準的なものから最近の新しい手法まで広く紹介するものです。もちろん、これらの手法は経済データに限らず、さまざま分野におけるデータの分析にも有用ですので、経済学・経営学以外の分野の方にも役立つ内容となっています。本書の特徴は、世界的に広く使われているStataという実証分析のためのソフトウェアを使って、実際のデータをどのように分析し、その結果をどのように解釈すればよいかについて詳しく説明を加えていることです。
 
まず第1章で統計学を学んだことがない方を対象として統計学の基礎について短く復習します。続いて第2章から第4章までが基本編で、一つの被説明変数を複数の説明変数を用いて説明する回帰分析について取り上げます。その際、分析の仮定が現実に成り立たっているのか、もし成り立っていないのならばどのように対処すればよいのかについても説明します。第5章から第9章が応用編で、さまざまな計量経済モデルを紹介します。第5章では、パネルデータと呼ばれる個人や企業について時間を追って観察されたミクロデータの分析手法について、第6章では、選択行動を表すミクロデータの分析手法としてロジットモデル・プロビットモデルを説明します。さらに、好き / やや好き / やや嫌い / 嫌いといった順序のあるカテゴリのデータ、製品A・B・Cのうちどれを購入するのかという多項選択のデータ、などの分析も扱います。第7章では、観測値の一部が観測できないデータの分析としてトービットモデルと、選択行動と回帰モデルの同時モデルであるサンプル・セレクションモデル、ある事象の発生件数などの計数データを分析するポアソン回帰モデル・負の二項回帰モデル、失業などの事象が継続する時間を分析するワイブル回帰モデルを取り上げます。第8章では、主としてマクロ経済モデルの分析を想定した同時方程式モデルを取り上げ、第9章では、経済に限らず多くの分野で使われている時系列データの分析について説明します。自己回帰移動平均過程のほか、単位根検定や共和分検定、分散変動を説明するGARCHモデルなども簡単に紹介しています。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 大森 裕浩 / 2018)

本の目次

1  統計学の復習
      1.1 データをまとめる
  1.2 確率変数
  1.3 区間推定
  1.4 仮説検定
  1.5 分析例
  1.6 練習問題
  1.7 データ
  1.8 Stataによるデータの読み込みと保存
  1.9 付録
 
2  単回帰分析
  2.1 単回帰モデル
  2.2 最小二乗法
  2.3 モデルのあてはまり
  2.4 最小二乗推定量の性質
  2.5 回帰係数の区間推定
  2.6 回帰係数の仮説検定
  2.7 E(Y),Yの推定・検定
  2.8 因果関係・外挿の危険
  2.9 分析例
  2.10 練習問題
  2.11 データ
  2.12 付録
 
3  重回帰分析
  3.1 重回帰モデル
  3.2 最小二乗法
  3.3 モデルのあてはまり
  3.4 回帰係数の推定・検定
  3.5 線形制約の仮説検定
  3.6 ダミー変数
  3.7 偏相関
  3.8 分析例
  3.9 練習問題
  3.10 データ
  3.11 付録
 
4  回帰の診断
  4.1 説明変数の選択
  4.2 多重共線性
  4.3 残差の分析
  4.4 分析例
  4.5 練習問題
 
5  パネルデータの分析
  5.1 パネルデータと個別効果
  5.2 固定効果モデル
  5.3 変量効果モデル
  5.4 分析例
  5.5 練習問題
  5.6 データ
 
6  選択行動の分析
  6.1 ロジットモデル・プロビットモデル
  6.2 順序ロジット/順序プロビットモデル
  6.3 多項ロジット/多項プロビットモデル
  6.4 分析例
  6.5 練習問題
  6.6 データ
 
7  さまざまなミクロ計量経済モデル
  7.1 トービットモデル
  7.2 サンプル・セレクションモデル
  7.3 計数データの回帰モデル
  7.4 継続時間の回帰モデル
  7.5 分析例
  7.6 練習問題
  7.7 データ
 
8  同時方程式モデル
  8.1 同時方程式モデル
  8.2 見かけ上無関係な回帰モデル
  8.3 分析例
  8.4 練習問題
  8.5 データ
 
9  時系列モデル・分布ラグモデル
  9.1 時系列モデル
  9.2 分布ラグモデル
  9.3 分析例
  9.4 練習問題
  9.5 データ
 
練習問題略解
付表
索引
 

関連情報

受賞歴:
2018年 日本統計学会 学会賞
https://www.jss.gr.jp/society/prize/prize_biog2018/
 
2012年 日本統計学会 研究業績賞
https://www.jss.gr.jp/society/prize/
 
参照ホームページ:
コア・テキスト 計量経済学
http://www.omori.e.u-tokyo.ac.jp/coretext/index.htm
 

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