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バイオレット色の表紙

書籍名

<18歳から>シリーズ 18歳から考える人権 [第2版]

判型など

106ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2020年11月

ISBN コード

978-4-589-04117-3

出版社

法律文化社

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18歳から考える人権

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本書は、教養課程での憲法の授業のテキストとして用いられることを念頭に置いた、人権論の入門書である。法学部で憲法以外の分野を学ぶことのない読者をイメージしつつ、写真や図表を多く用いたり、基本的な用語の解説を側注に入れたりしている。
 
法学部や法科大学院での憲法の授業は、どうしても判例や最先端の学説を素材にした解釈論が中心となる傾向がある。これに対して、高校を卒業して働いたり、法学以外の学問分野を学んだりする若い読者に、社会生活上の日常的な疑問から出発して、そこに基本的人権が関わっていること、そして人権を尊重するとはどういうことかを学んでもらおうというのが、本書の趣旨である。判例に触れる場合でも、解釈論としての巧拙をあげつらうというのではなく、どのように紛争が生じ、その解決にはどのような考えの筋道があるかをわかりやすく説明することに力点を置いている。このため、本書の企画に当たっては、教養科目として憲法を授業した経験のある同世代の研究者に多く、執筆をお願いした。
 
本書では、社会で話題となった問題をできるだけ取り上げるようにしている。よく指摘されることだが、憲法学の、したがって大学の憲法教育における人権イメージと、日常的な「人権」という言葉の使われ方の間にはギャップがある。憲法学の観点からは人権侵害の主体は第一次的には公権力であるのに対して、社会では生徒間のいじめが人権問題の典型例として取り上げられることが多いというのが、その代表例である。本書は、そうしたギャップを否定するのではなく、むしろその背後にある人権イメージの違いを解きほぐして、それぞれに重要な人権問題であることを解説している。
 
本書の初版が刊行されたのは2015年であったが、幸いにして好評であったために5年後に改訂することができた。その5年の間には、SDGsに向けた取組が広がる等、多様な人々を包摂する社会のあり方についての意識が高まった。「ビジネスと人権」原則に見られるように、企業活動における人権への配慮も求められるようになっている。「人権」と言えば色眼鏡で見られるという時代ではなくなる一方で、格差の拡大、性自認等の性的少数者への差別、ヘイトスピーチ等の問題は深刻さを増しているという面もある。改訂に当たっては、そのような最新の問題状況にできる限り言及することにした。
 
新型コロナウイルス感染症の拡大は、営業の自由や移動の自由等、古典的な人権の重要性を再認識させた側面もある。本書をきっかけに、自身の問題として人権のことを考える読者が一人でも増えてくれればと、編者としては願っている。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 宍戸 常寿 / 2021)

本の目次

プロローグ 人権問題について考えよう
1 憲法は私たちの「人権」をどのように守ってくれるの?
2 パパは「日本人」なのに、僕は「日本人」ではないの?
3 自分の髪型を自分で決めてはいけないのですか?
4 相続分が子どもによって異なっていたのはなぜ?
5 国歌は起立して歌わなくてはだめですか?
6 教えに反する授業を休んでもいいですか?
7 「お前ら日本から出ていけ」と叫んでもいいですか?
8 薬がネットで注文できなかったのはなぜですか?
9 遺伝子研究で人の運命をかえることができますか?
10 人間らしく生きるってどういうことですか?
11 私たちが教わったことは、誰かにとって都合のいい事実だったの?
12 バイトを辞めてと言われたら、退職しないといけないのですか?
13 自分の家なのに出て行かないといけないのですか?
14 ビラを投函すると捕まるのですか?
15 選挙に行く意味はどこにあるのですか?

関連情報

書籍紹介:
憲法関連書籍・文献紹介 (JICL法学館 憲法研究所 2021年1月1日)
http://www.jicl.jp/ronbun/backnumber/20210101.html

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