
書籍名
ブルデュー社会学で読み解く現代文化
判型など
160ページ、A5判
言語
日本語
発行年月日
2024年11月30日
ISBN コード
9784771038813
出版社
晃洋書房
出版社URL
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フランスの社会学者、ピエール・ブルデューは、現代の社会学において最も影響力の大きい研究者の一人である。ブルデュー社会学のトピックは多岐にわたるが、なかでも文化が社会においてはたす役割や機能が中心的な関心の一つとなっている。本書は、その重要性にもかかわらず、日本の社会学では十分に取り上げられてこなかったブルデューの文化社会学の教科書である。
評者が考えるブルデュー社会学の最も重要な特徴は、経験的研究への徹底的なまでの志向性である。この点が没後20年以上を経た今日においても、社会学理論の研究だけでなく、実証研究の領域でも大きな影響力をもっているゆえんであろう。このようなブルデュー社会学の精神に照らし合わせるならば、単なるブルデューの「理論」の解説ではなく、いかにして彼の理論を経験的な研究に応用するべきか、その手引きとなるような著作が求められる。本書はまさにそれを目指している。本書では複数の執筆者が大学生文化や音楽、食、ソーシャルメディアなどをめぐる現代日本のさまざまな文化領域にブルデュー理論を適用し、経験的データに基づいてそれら文化領域の具体的様相を明らかにしている。読者はそうした試みについて学ぶことで、文化社会学におけるブルデュー理論の意義と方法的ポイントを体得することができる仕組みになっているのである。
本書の読み方としては、まず第1章と第2章を読むことをおすすめする。第1章ではブルデュー文化社会学の基本概念がコンパクトにまとめられており、その全体像をつかむことができる。第2章は、「文化的オムニボア」という比較的新しい文化社会学の概念を中心に、ブルデュー以後の現代文化をどのように考えるべきか、啓発的な議論が行われている。第3章以後はいわば各論である。現代文化としての音楽に興味のある人は第3章、大学生文化に興味のある人は第4章、食文化に興味のある人は第5、6章、ソーシャルメディアに関心のある人は第7章を読まれたい。ただし、いずれの章も個別トピックを超えて、ブルデューや文化社会学の視点やアイデアを経験的研究に応用するためにはどうするべきか、データに基づいて批判的に検討するとはどういうことかについてのさまざまな示唆を含んでいる。できれば、本書全体を通読してほしい。
本書は、ブルデューの社会学をヒントにしつつ、複雑化し、多様化した現代文化の社会学的な意味をデータに基づいて読み解くための教科書でもある。ブルデュー社会学はもちろんのこと、文化社会学全般に興味のある人にはぜひ手に取って読んでもらえればと思う。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 准教授 瀧川 裕貴 / 2026)
本の目次
はじめに
1 ブルデュー文化社会学の基本概念
2 ブルデュー文化社会学の論理
3 ブルデュー文化社会学の視座
第2章 文化的オムニボア(文化的雑食)とは何か 片岡栄美
1 象徴的排除と階級
2 文化的排他性の変容と文化の序列性
3 文化歴オムニボア(文化的雑食性)仮説の登場
4 日本は文化的雑食性(文化的オムニボア)の社会か?
5 文化的オムニボアは寛容性か、それとも卓越化の新しい形態か?
6 「ゆとりのハビトゥス」から「ファスト教養」の時代へ
7 現代の文化資本とは何か
第3章 文化資本の揺らぎと境界感覚の測定――CDショップの利用調査をもとに 南田勝也
1 ハビトゥスについて
2 卓越化について
3 音楽の優劣
第4章 大学生における「趣味の良さ」と階層意識、ハビトゥスの関係 片岡栄美
はじめに
1 趣味・嗜好とハビトゥス
2 大学生の趣味データの読み方
3 進路選択と趣味の関係
4 仮説とデータ
5 大学生の「趣味の良さ」判断と「趣味の広さ」の関係
6 趣味実践と趣味の良さ
7 趣味活動の最空間の多重対応分析と文化マップ
8 大学生の社会空間の特徴と差異空間との対応関係
9 希望する職業の社会空間と差異空間の対応
まとめ
第5章 食の実践・卓越化・正統性――グルメからフーディーへ 村井重樹
はじめに
1 食事の礼儀作法と社会階級
2 食事様式と卓越化
3 食の実践と文化的オムニボア
4 グルメ文化と真正性
5 食の実践・卓越化・正統性―良い食べ物をめぐる象徴闘争
第6章 食の好みと社会階層 片岡栄美, 村井重樹
はじめに
1 食のテイストと社会階級に関する先行研究
2 分析課題
3 データ
4 食の文化資本尺度
5 食の文化資本得点の規定要因
6 好きな料理にみる食テイスト空間
7 食テイスト空間と社会空間の対応
まとめ
第7章 ソーシャルメディアにおける文化実践と社会空間 瀧川裕貴, 水野誠
はじめに
1 文化実践の場としてのソーシャルメディア
2 デジタルデバイド
3 オンライン場の理論
4 サーベイ調査と行動ビックデータ
5 データの説明
6 文化実践はどのようにして社会空間を再生産するか?――条件の特定
7 疑似予測法
8 データの処理と分析モデル
9 結 果
10 Twitter上で実践は社会空間を再生産するか?
まとめ
関連情報
学術シンポジウム「ブルデュー社会学と現代文化」 (日本版ディスタンクシオン研究会、駒澤大学協賛 2025年3月9日)
https://jss-sociology.org/news/public/20250131post-17365/

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