東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙に水色のロープのイラスト

書籍名

y-knot 民主主義の比較政治学

著者名

伊藤 武、 作内 由子、 中井 遼、 藤村 直史

判型など

342ページ、四六判、並製カバー付き

言語

日本語

発行年月日

2025年4月

ISBN コード

978-4-641-20014-2

出版社

有斐閣

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民主主義の比較政治学

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比較政治学は、複数の国・地域、分野の政治現象について、政治学的理論と分析手法を用いながら、横断して比較する政治学の重要な分野です。本書は、『民主主義の比較政治学』という書名に表れているように、本書は現代の民主主義国の政治について比較しながら、ある国や分野の政治がどの程度共通し、相違しているか、それらの共通性と特徴は政治学的理論を用いていかに説明できるかを考えていく教科書です。民主主義国とあるように、アジア・ヨーロッパ・(南北) アメリカなどの民主主義国に焦点を当てています。
 
特定の国や分野について、あるいは一般的な政治学とは違って、序で示したように、「比べてみなければ分からない」比較政治学の醍醐味を、本書における民主主義国の比較政治から学んで欲しいという願いから執筆しました。そのため、本書の説明では、実際にある領域について、複数の国や分野を比較しながら、共通点と相違点を明らかにするような説明をしています。扱う分野は、比較政治学で長年に重視されてきた政党政治・議会政治・選挙政治などから、近年急速に注目される司法政治など新しい分野、国家形成や宗教、文化など従来の教科書ではあまり扱われないが学生のみなさんの関心が高い分野まで取り扱っています。
 
執筆陣は、専攻する地域 (アジア欧米)、手法 (制度・計量分析・実験・政治史) も、年齢や出身、所属先もさまざまです。実際に学生に比較政治や関連分野を教えてきた経験から、民主主義に焦点を絞りながらも、実証的政治科学と政治史や政治社会学的研究を架橋するような比較政治学のテキストが必要だという点で一致し、何度も話し合いながら本書を作成しました。その上で、説明は平易にしようとしましたが、背景となる研究については先端的な論文も取り込んでいて、大学院生や教員の方に読んでいただいてもその分野の研究への橋渡しとなると思います。他方で、海外の比較政治学の教科書にあるように、国ごと、選挙・議会など制度ごとの解説や、理論優先の説明に偏るのではなく、それらを実際の政治の動きと結びつけて現実と照らし合わせて理解できるようにしています。このようなスタイルのテキストは珍しく、いわば基本的な定理と練習問題が掲載された数学や理科の参考書のようなイメージが当たっていると思います。実際解説付きの簡単な問題やディスカッションが必要な大きな問題も掲載されています。
 
本書であえて扱っていないのは、民主主義の後退の議論です。このテーマは重要かつ学生や教員の関心も高い領域です。しかし、本格的にこの話を展開するには、権威主義の説明についてかなり深く立ち入らなければなりません。そのために、丁寧な解説ができない「薄い」テキストになってしまうくらいならばと断念した選択が正しかったか、読者にお任せ致します。学部1年生から修士課程くらいまで、関心に合わせて使えるテキストです。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 伊藤 武 / 2025)

本の目次

第1章 国家形成
第2章 現代民主主義の定義と指標化
第3章 民主主義の多様性
第4章 選挙政治
第5章 政党政治
第6章 執政政治
第7章 議会政治
第8章 司法政治
第9章 地方政治
第10章 文化と政治
第11章 宗教と政治
第12章 政治経済
第13章 福祉政治
第14章 社会と政治
 

関連情報

座談会:
「日本で『比較政治学』を学ぶということ――y-knot『民主主義の比較政治学』刊行によせて (上)
伊藤武・作内由子・中井遼・藤村直史・稗田健志・板橋拓己 (『書斎の窓』No.700 2025年7月)
https://www.yuhikaku.co.jp/shosai_mado/2507/index.html?detailFlg=0&pNo=25
 
「日本で『比較政治学』を学ぶということ――y-knot『民主主義の比較政治学』刊行によせて (下)
伊藤武・作内由子・中井遼・藤村直史・稗田健志・板橋拓己 (『書斎の窓』No.701 2025年9月)
https://www.yuhikaku.co.jp/shosai_mado/2509/index.html?detailFlg=0&pNo=18
 

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