抗原に結合すると光る抗体の作製に成功 モルヒネ・ヘロインなど各種分子の簡便迅速高感度な検出法開発へ
抗体は各種の分子(抗原)の検出・診断においてきわめて有用なタンパク質ですが、これまでその抗原との結合を溶液中で簡便に調べられる汎用的な方法はありませんでした。
?東京大学大学院工学系研究科の上田 宏 准教授、北陸先端科学大学院大学の芳坂貴弘教授、(株)プロテイン・エクスプレスの阿部亮二研究員らは、その末端近傍をある種の色素で蛍光ラベルした組換え抗体断片を作ることで、単体では抗体内のアミノ酸によって消光されている蛍光が、抗原に結合することにより顕著に増大する現象を世界で初めて見出しました。そして、これを利用することで1mL中に10億分の1グラムしかないモルヒネ・ヘロインなどの低分子化合物やバイオマーカータンパク質など各種分子を、混ぜてその強度蛍光を測定するだけで簡便に検出できることを示しました。今後、本原理に基づく新しい検出・診断法や装置の開発につながるものと期待されます。
論文情報
R. Abe, H. Ohashi, I. Iijima, M. Ihara, H. Takagi, T. Hohsaka, and H. Ueda,
“”Quenchbodies” : quench-based antibody probes that show antigen-dependent fluorescence”,
Journal of the American Chemical Society オンライン版2011年10月7日(日本時間)
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