金属と絶縁体が入り混じる物質で電子応答の測定に成功 相分離構造を利用した次世代メモリやセンサの実現に期待
マンガン酸化物の相分離状態での金属領域と絶縁体領域、および2つの領域の界面からの電子応答を、印加した交流電場の周波数に対する静電容量の変化を調べることで分離して測定することに初めて成功しました。これは、理研基幹研究所(玉尾皓平所長)強相関量子科学研究グループの十倉好紀グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授)、強相関界面デバイス研究チームの川崎雅司チームリーダー(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授)、盛志高研究員、交差相関超構造研究チームの中村優男研究員、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の賀川史敬講師らの共同研究による成果です。この成果は、相分離状態の電子の特性を理解する上で基礎研究として重要なだけでなく、相転移現象を利用した革新的な次世代メモリやセンサへの応用にもつながることが期待できます。
論文情報
Zhigao Sheng, Masao Nakamura, Fumitaka Kagawa, Masashi Kawasaki ,Yoshinori Tokura,
“Dynamics of multiple phases in a colossal-magnetoresistive manganite as revealed by dielectric spectroscopy”,
Nature Communications Online Edition: 2012/7/10 (Japan time), doi: 10.1038/ncomms1943.
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