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真核生物の転写過程の新たなモデルを提案 分野を超えて難問に挑戦

掲載日:2012年8月22日

ループ構造のある遺伝子位置でポリメレースが運動する様子 © Y Ohta and S Ihara
ポリメレースを玉で表示、赤が図1の白の部分、黄色と緑はポリメレースが停留するイントロン位置とエクソン位置。

真核生物の転写過程では、関連する分子が複雑な振る舞いをするため、その数理モデルを構築することは生物分野で最も難しい問題の一つでした。東京大学先端技術研究センターの井原茂男特任教授(バイオインフォーマティクス)、同、大田佳宏特任助教および大学院数理科学研究科、時弘哲治教授らの学際的なチームはこの難問に挑戦、通常のポリメレースがDNAに沿う一次元的な運動の他に、DNA (クロマチン)の形状変化によって確率が変化する三次元的な移動を導入して、世界で初めてこの問題の解決に成功しました。DNAの転写過程で、遺伝子やその中でも特にエクソンを効率よく転写するために、DNAのループ構造が変化して、ポリメレースが空間的に近接することも計算と実験から明らかにしました。今回構築したモデルを使えば、コンピュータシミュレーションによってより正確に遺伝子の働きを調べることができるため、将来的には病気の原因探索、新薬の開発、および新しい治療方法の開発期間の短縮に寄与することが期待されます。

プレスリリース

論文情報

Yoshihiro Ohta, Akinobu Nishiyama, Yoichiro Wada, Yijun Ruan,Tatsuhiko Kodama, Takashi Tsuboi, Tetsuji Tokihiro, and Sigeo Ihara,
“Path-preference cellular-automaton model for traffic flow through transit points and its application to the transcription process in human cells”,
Physical Review E doi: 10.1103/PhysRevE.86.021918.
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