ツレない猫、答えないけど飼い主の声聞き分ける 家庭訪問実験による科学的な証明
近年、イヌやウマなどの人間によって家畜化された動物が、人間に対して高度に社会的な認知能力を示すという研究が次々と報告されています。一方、イヌと並ぶ二大伴侶動物であるイエネコの社会的な認知能力は、「イヌは人につき、ネコは家につく」という言葉からもイメージされるように、これまであまり注目されてきませんでした。
東京大学大学院総合文化研究科の齋藤慈子講師らは、一般家庭で飼育されているネコを対象として、ネコが人間の呼び声をどのように認知しているかを調べました。その結果、呼び声に対するネコの反応は、飼い主に呼ばれた場合でも頭や耳を動かす定位反応が多く、鳴いたり尾を動かしたりする応答的な反応は少ないことがわかりました。その一方で、ネコは見知らぬ他人の呼び声と飼い主の呼び声を区別していることも明らかになりました。
本研究の結果は、古くから素朴に信じられてきた「ツレない猫」の姿を科学的に裏付け、その奥にある社会的な認知能力を明らかにするものです。今後、家畜化された動物の人間に対する社会的な認知能力の研究において、ネコが重要な比較対象となることが期待されます。
論文情報
Atsuko Saito and Kazutaka Shinozuka,
“Vocal recognition of owners by domestic cats (Felis catus)”,
Animal Cognition Online Edition: 2013/3/25 doi: 10.1007/s10071-013-0620-4.
論文へのリンク