歪を加えて光信号への変換効果を増大 シリコン・ゲルマニウムを用いた低消費電力光集積回路への応用に期待

東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の竹中 充 准教授らは住友化学株式会社との共同研究により、歪を加えたシリコン・ゲルマニウム(SiGe、歪シリコン・ゲルマニウム)結晶中において、電子や、電子が抜けることにより正の電荷をもった正孔により誘起される屈折率や吸収率の変化が増大することを、世界で初めて実証しました。
これにより、光ファイバー通信で用いられる近赤外光で動作し、電気信号を光信号に変換できる低消費電力な光変調器の開発に成功しました。今回実現したシリコン・ゲルマニウム光変調器は、既存の大規模集積回路(シリコン基板上に無数のトランジスタを集積した大規模な電子回路)向け半導体工場で容易に作製が可能であり、低消費電力かつ小型な光集積回路を大規模集積回路に内蔵できるようになります。これによりIT機器の省電力化、高性能化だけでなく、将来的には大規模集積回路上の配線を光化したワンチップスーパーコンピューターなどの実現に道を拓くものと期待されます。本成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」2014年 4 月 15 日(火)(英国時間)オンライン版にて公開されました。
論文情報
Y. Kim, M. Takenaka, T. Osada, M. Hata, and S. Takagi,
“Strain-induced enhancement of plasma dispersion effect and free-carrier absorption in SiGe optical modulators”,
Scientific Reports vol. 4, 4683, 2014, doi: 10.1038/srep04683.
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