超巨大ブラックホールが放つ稲妻 高エネルギーガンマ線望遠鏡MAGICが明かす極限物理現象
東京大学宇宙線研究所 手嶋政廣教授らの研究グループ、京都大学大学院理学研究科 窪秀利准教授らの研究グループ、東海大学、徳島大学、高エネルギー加速器研究機構の研究者が参加する国際共同実験、MAGICにより、地球から2.6億光年離れたペルセウス銀河団にある電波銀河「IC310」の中心の超巨大ブラックホールで発生した、超高エネルギーガンマ線の爆発現象を観測しました。そして、このガンマ線の爆発現象からは、かつてないほど急激で速く強度が変化するガンマ線放射を確認しました。
この短時間で激しく変化するテラ電子ボルト高エネルギーのガンマ線放射は、理論的にブラックホールの大きさから推定されるガンマ線放射よりもはるかに短い時間で変化するものです。加えて、これまでの、光速に近い速度で発せられるプラズマ流の効果を考慮したガンマ線放射モデルでは今回の観測結果は説明できません。研究グループは、高速度で回転するブラックホールの極冠付近には、電位のギャップが生成され、激しい粒子加速・ガンマ線放射が起こるという、新たなモデルを報告しました。
今後、高エネルギーガンマ線天文学により、謎の多いブラックホール、またその周辺の極限的物理状態の研究がさらに進展していくと期待されます。
論文情報
The MAGIC Collaboration, J. Aleksic et al. (165 researchers),
“Black hole lightning due to particle acceleration at subhorizon scales”,
Science Online Edition: 2014/11/7 (Japan time), doi: 10.1126/science.1256183.
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