RNAiの謎に1分子観察で迫る 複合体「RISC」がつくられる過程を分子レベルで解明
小さなRNAが特定のタンパク質の合成を抑えるRNAiは、遺伝子のはたらきを調べる方法として、生物学実験に幅広く利用されています。RNAiは、小さなRNAとアルゴノートと呼ばれるタンパク質からなる複合体RISCが、細胞内でつくられることで引き起こされます。しかし、RISCがどのようにつくられるかについては、これまで詳しく調べる方法がなく謎に包まれていました。
今回、東京大学の岩崎信太郎助教、佐々木浩助教、多田隈尚史助教、泊幸秀教授らの研究チームは、RISCの形成に必要なタンパク質7種類をすべて突き止め、RISCを試験管内でつくりだすことに成功しました。さらに、1分子イメージング技術を用いて、RISCがつくられる過程を分子1個のレベルで観察することに、世界で初めて成功しました。
これは、RISCがつくられるしくみを解き明かす画期的な研究成果であるとともに、現在進められているRNAiを利用した次世代医薬品の開発など、RNAiのさらなる応用を加速することが期待されます。
論文情報
Defining fundamental steps in the assembly of Drosophila RNAi enzyme complex", Nature Online Edition: 2015/3/31 (Japan time), doi:10.1038/nature14254.
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