世界最薄のリボン!? トップダウンとボトムアッププロセスの融合によるグラフェンナノリボンの形成に成功
東京大学生産技術研究所の竹内 昌治 教授と 李 源哲 特任助教は、無機ナノマテリアルがグラフェン上に自発的に規則正しく整列する(自己組織化する)現象を応用して、単層グラフェンの帯状構造(グラフェンナノリボン)を独自の手法で形成することに成功しました。本成果は、シリコンに代わる半導体素材として注目されているグラフェンの利用可能性を大きく高めると期待されます。
竹内教授らは、まず、常温の水溶液中でシアン化金がグラフェン上にナノサイズの繊維状構造(以下、ナノワイヤ)を自己組織化することを発見しました。次に、このナノワイヤをもとにしてグラフェンをエッチングすることで、幅約10 ナノメートル、厚さ炭素原子1個分の極めて薄い帯状の構造体であるグラフェンナノリボンを作製することに成功しました。ナノワイヤとグラフェンナノリボンは、共にジグザグエッジ方向に形成されており、これまで実現していなかったグラフェンナノリボンの形成方向の制御に成功している可能性があります。
本成果は、学術誌「Nature Nanotechnology」にて発表されました。
また、本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「竹内バイオ融合プロジェクト」の一環として、カリフォルニア大学バークレー校、蔚山科学技術大学校、ハーバード大学、建国大学校、ローレンス・バークレー・ナショナル・ラボラトリーとの共同研究により行われました。
論文情報
Graphene-templated directional growth of an inorganic nanowire", Nature Nanotechnology Online Edition: 2015/3/24 (Japan time), doi:10.1038/nnano.2015.36.
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