高詳細な遠赤外線全天画像データを公開 赤外線天文衛星「あかり」の新しい観測データを研究者が利用可能に
東京大学大学院総合文化研究科の土井靖生助教らのグループは、赤外線天文衛星「あかり」のデータから、全天の遠赤外線画像データを作成しました。完成したデータを、世界中の研究者が利用できるようにインターネットを通じて公開しました。
日本では本格的な赤外線天文衛星として、赤外線天文衛星「あかり」を2006年2月22日に打上げ、2007年8月26日までの間に遠赤外線で全天の99%以上の領域をくわしく観測しました。その後、近赤外線の観測を2011年11月24日まで行いました。
遠赤外線は、星・惑星系誕生の過程を知るために鍵となる波長帯です。星を作る素となる星間物質(星の間にあるガスやダスト)の分布を知ることができ、その内部で星が生まれる様子をくわしく調べることができます。
今回、土井助教らのグループは赤外線天文衛星「あかり」が取得したデータを用いて、65, 90, 140, 160マイクロメートルの4つの波長で、解像度およそ1分~1.5分角(1分角は1度の60分の1度)の全天画像を完成させました。このデータは、これまで利用されてきた遠赤外線全天画像と比較して解像度を4~5倍向上させ、観測波長もより長い波長に広げています。
この画像データは、星間物質の温度や分布を正確に測定したり、星間物質から星が作られ始める様子をくわしく調べたり、星間物質の背後に埋もれた宇宙背景放射の強さの分布を正確に測定するなど、天文学の非常に広い範囲の研究に貢献すると期待されます。
論文情報
The AKARI Far-Infrared All-Sky Survey Maps", Publications of the Astronomical Society of Japan: 2015/6/4 (Japan time), doi:10.1093/pasj/psv022.
論文へのリンク(掲載誌、UTokyo Repository)