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浮気する一夫一妻の海鳥 オオミズナギドリの浮気はなぜ起きる?

掲載日:2018年9月4日

オオミズナギドリの夫婦の写真

寄り添うオオミズナギドリの夫婦
仲睦まじく寄り添っているように見えますが、実は・・・
© 2018塩見こずえ

東京大学大気海洋研究所の坂尾美帆大学院生および佐藤克文教授を中心とする共同研究グループは、夫婦で協力して子育てをする海鳥で、雛の育ての父親と遺伝的な父親が異なる「浮気」が高い割合で起きていることを明らかにしました。また、浮気されたオスは他のオスに比べてくちばしと羽根の長さが短いことがわかり、体の小さいオスほど浮気されやすい傾向が示されました。

これまで鳥類の多くの種で「浮気」が確認されていますが、オスメスどちらが主導して起きているのかはよくわかっていませんでした。また、鳥類の中でも、ペアが協力して子供へ給餌し、一夫一妻の絆が長年にわたって維持される海鳥では浮気はほとんど起きないと考えられてきました。

今回、研究グループは、海鳥の一種であるオオミズナギドリ(Calonectris leucomelas)の浮気率を調べるために、2014年から2016年にかけて、親鳥338羽、雛199羽からDNAを集め、親子鑑定を行いました。その結果、オオミズナギドリの雛のうち15%(17羽)は育ての父親と遺伝的な父親が異なっており、浮気が起きていたことがわかりました。また、浮気されてしまったオスのくちばしと羽根の長さは、浮気されずに自分の子供を残せたオスよりも、短いことが明らかになりました。さらに、目視観察の結果から、オオミズナギドリのメスはオスによる強制的な交尾を拒否できることがわかっています。これらのことは、オオミズナギドリでは、メスがパートナーの体サイズに応じて浮気するかどうかを決めている可能性を示しています。

「絆が強く浮気をしないと言われてきた海鳥でも、実は高い割合で浮気していること、そして浮気がメス主導で起きている可能性を示すことができました」と佐藤教授は話します。「今後は、メスがどうやって浮気する相手を選んでいるのか、なぜオオミズナギドリは他の海鳥に比べて浮気率が高いのかなどを明らかにしていきたいと思います」と続けます。

論文情報

Miho Sakao, Hirohiko Takeshima, Koji Inoue, Katsufumi Sato, "Extra-pair paternity in socially monogamous Streaked Shearwater; forced copulation or female solicitation?," Journal of Ornithology Online edition: 2018年7月30日, doi:10.1007/s10336-018-1587-3.
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