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安藤 宏 教授、菊地 重仁 准教授 の恩賜賞・日本学士院賞 受賞が決定

掲載日:2024年3月14日

菊地 重仁 准教授 恩賜賞・日本学士院賞、安藤 宏 教授 日本学士院賞の受賞が決定

2024年3月12日、本学大学院人文社会系研究科 菊地重仁准教授(西洋史学専門分野)が 恩賜賞・日本学士院賞 、安藤 宏教授(日本語日本文学専門分野)が日本学士院賞を受賞することが発表されました。



日本学士院における授賞制度は、明治43年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授賞を行うものです。

<恩賜賞・日本学士院賞 受賞理由>
菊地 重仁 准教授
〈研究題目〉
Herrschaft, Delegation und Kommunikation in der Karolingerzeit. Untersuchungen zu den Missi dominici (751–888)(『カロリング朝時代の支配、委任、コミュニケーション—ミッシ・ドミニキ(751-888年)の研究』)
〈受賞理由〉
菊地重仁氏のHerrschaft, Delegation und Kommunikation in der Karolingerzeit. Untersuchungen zu den Missi dominici(751–888) (Harrassowitz, 2021)は、西ヨーロッパ世界が中世に転換した最も重要な時期にあたるカロリング朝フランク時代において統治の重要な手段となった「国王使節」と称するシステムを研究対象とした著作です。膨大な文献を渉猟して、このシステムを担った人物の悉皆的な調査を遂行し、470人の同定可能な人物と逸名の70人のプロソポグラフィー(人物誌)を作成し、カロリング朝国王使節研究を全く新たな段階に引き上げるのに成功しました。菊地氏が構築した人物誌データが提供する情報は、このテーマに限らずカロリング朝フランク時代の国制一般の研究にも活用され、国際的に高い評価を受けています。
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2024/031201.html#001

<日本学士院賞 受賞理由>
安藤 宏 教授
〈研究題目〉
太宰治論
 〈受賞理由〉
安藤 宏氏は『太宰治論』(東京大学出版会、2021年12月)において、「自意識過剰の饒舌体」という特徴的な文体によって日本の近代小説を代表する作品を生み出した太宰 治の小説家としての歩みを、広い視野のもと精緻な分析を積み重ねて明らかにしました。安藤氏は太宰の小説家としての活動時期を四期に分かち、太宰の伝記的な事実や太宰の社会的・文化的な環境を検討しつつ、それぞれの時期の作品の素材やテーマの分析にとどまることなく、小説における「語り」という視点から作品の構造を分析し、「自己言及のドラマ」と称される太宰の小説の魅力を鮮やかに提示することに成功しました。しかも、そのことが太宰 治という一人の小説家の問題として閉鎖的に論じられるのではなく、「私」の表現はどのような文体や語りにおいて可能なのかという、日本の近代小説が抱えてきた大きな問題の解明にも資する開かれた研究になっていることも、本書の優れた研究業績として高く評価することができます。
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2024/031201.html#003

 
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