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東京大学が参加する欧州LHC加速器実験が「ブレークスルー賞」受賞の快挙 「最も短い距離と最も極端な条件での自然の探究」に関する国際共同ALICE実験チームの成果

掲載日:2025年5月8日

米国グーグル創業者らが出資するブレークスルー財団が主催する自然科学における国際的な学術賞「ブレークスルー賞」が4月5日(日本時間4月6日)に発表され、基礎物理学部門で、欧州合同原子核研究機構(CERN)にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で行われている4つの国際共同実験が共同受賞しました。ブレークスルー賞は、自然科学における国際的な学術賞で、「科学界のアカデミー賞」とも称されます。基礎物理学(2012年創設)、生命科学(2013年創設)、数学(2014年創設)の3部門があります。このうちALICE実験には、佐賀大学、筑波大学、東京大学、長崎総合科学大学、奈良女子大学、広島大学(五十音順)が正参加機関として、熊本大学、理化学研究所(同)が准参加機関として、多数の研究者と大学院学生を擁して参画しています。ALICE実験は、ビッグバン直後の宇宙を充した物質状態「クォーク・グルーオン・プラズマ」の性質探究などを通じ、新粒子探索などを主目標とするATLAS実験やCMS実験とは異なる角度から、基礎物理学の限界を前例のない領域まで押し広げてきており、LHCの4実験の中でも学術的に極めて重要な一角を占めています。
 
東京大学は、2006年からALICE実験に参加し、主飛跡検出器(TPC)および生成粒子の識別に用いる遷移輻射検出器(TRD)の開発・建設・運用を担当して、重クォーク、クォーコニウム、電子対の物理測定を主導しています。近年は、TPC検出器の高度化やデータ収集系の高度化に尽力し、クォーク・グルーオン・プラズマの熱力学的特性や輸送特性などに迫る解析を進めています。
 
ALICE実験は、受賞賞金総額300万ドル(約4.5億円)のうち50万ドル(約7,500万円)を配分され、次世代を担う若手研究者の教育支援に役立てるとしています。
 

論文情報

S. Acharya, et al. (ALICE Collaboration), "The ALICE experiment: a journey through QCD," Eur. Phys. J. C 84 (2024) 813: 2024年8月14日, doi:https://doi.org/10.1140/epjc/s10052-024-12935-y.
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