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奥田拓也助教らの論文がBest Paper Prize 2025を受賞

掲載日:2025年10月28日

大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系の奥田拓也助教とピーダーセン珠杏氏(論文投稿時:大学院生 広域科学専攻相関基礎科学系、現在:Quantinuum R&D Scientist)が丸吉一暢氏(成蹊大学 准教授)、鈴木了氏(中国・東南大学 Research professor)、山崎雅人氏(論文投稿時:本学カブリ数物連携宇宙研究機構 教授、現在:理学系研究科物理学専攻 教授)、吉田豊氏(論文投稿時:明治学院大学 助手、現在:専任講師)らと共同執筆した論文"Conserved charges in the quantum simulation of integrable spin chains"がJournal of Physics A: Mathematical and TheoreticalのBest Paper Prize 2025を受賞しました。

受賞論文は、新規性、成果、潜在的なインパクト、プレゼンテーションを基準に選出されます。
量子多体系の時間発展をデジタル量子コンピュータで再現しようとすると、「量子ノイズ」と「時間を細かく区切ることで生じる誤差(トロッター誤差)」という2つの大きな課題に直面します。ところが、特定のスピン鎖(量子スピン模型)では、「可積分性」と呼ばれる特別な性質を保ったまま時間発展を離散化できる場合があります。この方法では、多くの保存量が時間を区切っても正確に保たれます。
本研究では、そのような「可積分なトロッター化(時間離散化)」をスピン1/2ハイゼンベルクXXXモデルに対して、実際の量子コンピュータと古典シミュレーターの両方で実装しました。そして、量子ノイズが時間発展中の保存量にどのような影響を与えるかを調べ、ノイズがなければ一定であるはずの期待値が徐々に減衰していく様子を観測しました。
さらに、時間発展の初期の挙動を詳細に解析し、将来的に量子デバイスや量子アルゴリズムの性能評価(ベンチマーク)に利用できる可能性を示しました。
また、高次の保存量を効率的に生成する新たな方法も提案しています。

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