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総合文化研究科・教養学部 瀬川教授、野口准教授、横川准教授が平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

掲載日:2019年4月17日

総合文化研究科所属の下記3名の教員が、平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました。

 
受賞者氏名 受賞名 業績名
瀬川浩司
教授
科学技術分野の文部科学大臣表彰
科学技術賞(研究部門)
有機無機ハイブリッド太陽電池の先駆的研究
野口篤史
准教授
科学技術分野の文部科学大臣表彰
若手科学者賞
ハイブリッド量子系における量子極限操作の研究
横川大輔
准教授
科学技術分野の文部科学大臣表彰
若手科学者賞
溶液内化学現象の微視的理解を目指した理論開発と応用研究
 

関連URL
文部科学省プレスリリース:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1415044.htm

受賞した三名の業績内容は以下のとおりです。


 

瀬川浩司 教授
業績名 「有機無機ハイブリッド太陽電池の先駆的研究」

 瀬川教授は、脱炭素社会の実現に向けてさらに普及拡大が求められる太陽光発電に関し、革新的な低製造コスト太陽電池の開発や、オフグリッド電源にも利用可能な高機能太陽電池の開発を進めています。今回受賞対象となった研究は、有機無機ハイブリッド太陽電池の先駆的研究であり、蓄電機能を内蔵した太陽電池、金属錯体のスピン反転励起を用いた広帯域太陽電池、希少金属を使わない高効率ペロブスカイト太陽電池、さらにこれらを用いた高効率複合型太陽電池など、従来にない新しい太陽電池を創成したことが評価されました。本研究により、世界初の蓄電機能内蔵太陽電池が実現した他、希少金属を使わない実用的な高効率低コストペロブスカイト太陽電池や、これを用いた高効率多接合太陽電池なども実現しています。。

 本成果は、太陽光発電のさらなる普及に繋がるほか、低照度下でも高いエネルギー変換効率をもつエネルギーハーベストデバイス、ZEBやZEH向けのオフグリッド電源、IoTデバイスで大量に必要となる電源などに利用されると考えられ、広く脱炭素社会の構築に寄与することが期待されます。

battery.jpg
蓄電機能内蔵太陽電池。背景と葉が太陽電池で、花びらが蓄電池。
電気がたまると花びらが白から青に変わる。
印刷工程を利用して作るため様々な色やデザインで作成できる。

関連URL
先進科学研究機構 : http://kis.c.u-tokyo.ac.jp/
瀬川研究室 : http://www.dsc.rcast.u-tokyo.ac.jp/


 

野口篤史 准教授
業績名 「ハイブリッド量子系における量子極限操作の研究」

 野口准教授は、異なる量子系を互いに結合させるハイブリッド量子系の研究を行い、量子的な操作や観測技術の開発を行いました。近年、いくつかの量子系では、個々の量子操作は高い精度で行われるようになってきました。一方で、そのままでは制御の難しい物理系を、制御性の高い量子系と組み合わせたハイブリッド量子系の研究が、応用・基礎科学的な両面より注目を浴びています。

野口准教授は、単一核スピンと光共振器、イオンの振動状態とスピン状態、超伝導量子ビットと音波、という3種類のハイブリッド量子系を実現し、それぞれの系において量子極限における操作や観測を行いました。様々なハイブリッド量子系の可能性がある中で、いかにして量子系の散逸を抑制しつつ、複合系に強い相互作用を実現するかという点に着目し、究極的な制御を行いました。

 本研究成果は、量子センサーや量子情報処理デバイスといった、将来の量子技術の根幹を担う技術に発展すると期待されます。


 

横川大輔 准教授
業績名 「溶液内化学現象の微視的理解を目指した理論開発と応用研究」

 横川准教授は溶液内化学現象の微視的理解を目指し、量子化学と統計力学を組み合わせた新しいハイブリッド理論を構築しました。溶液内化学現象を、理論に基づき原子・電子レベルで明らかにすることは、現象の解明のみならず、創薬、材料開発においても極めて有用です。しかしながら、検討すべき分子数が膨大な数になるため、実験事実を説明するに足るだけの計算精度を備えたものは極めて限られていました。

横川准教授は、量子・古典両方の性質を併せ持つ分子間ポテンシャルを独自に開発し、これを利用した新たな量子・古典ハイブリッド理論を構築することに成功しました。これにより、従来法では実現できなかった計算精度で溶液内の量子化学計算を行うことを可能にしました。

本研究成果は、溶液内化学現象の基礎的な理解に貢献するだけでなく、新しい薬、材料の設計などにも大いに役立つと期待されます。

主要論文:
「Toward Accurate Solvation Free Energy Calculation with the Reference Interaction Site Model Self-Consistent Field: Introduction of a New Bridge Function」J. Chem. Theory Comput.、14、p3272~3278、2018年5月発表

「New generation of the reference interaction site model self-consistent field method: Introduction of spatial electron density distribution to the solvation theory」J. Chem. Phys.、126、244505(p1~6)、2007年6月発表


 

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