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東洋文化研究所の藏本龍介教授が地域研究コンソーシアム賞研究作品賞受賞

掲載日:2025年12月5日

東洋文化研究所の藏本龍介教授が、第15回(2025年度)地域研究コンソーシアム賞研究作品賞を受賞しました。

地域研究コンソーシアム(JCAS)は、国家や地域を横断し、人文・社会科学系および自然科学系の諸学問を統合する新たな知の営みとしての地域研究のさらなる進展を図ること、その基盤としての地域研究関連諸組織を連携する研究の実施・支援体制を構築することを目的として、2004年4月に設立され、2025年4月現在、107の組織が加盟する、地域研究のアカデミック・コミュニティです。
地域研究コンソーシアム賞は、上記の目的等を達成するうえで大きな貢献のあった研究業績ならびに社会連携活動を広く顕彰することを目的として授与されます。このうち研究作品賞は、地域や国境、そして学問領域などの既存の枠を越える研究成果を対象とするもので、作品の完成度を評価基準としています。
 
授賞式は11月15日(土)、京都大学東南アジア地域研究研究所で開催されたJCAS年次集会において執り行われました。

受賞作

Living with the Vinaya: An Ethnography of Monasticism in Myanmar (University of Hawai'i Press, 2024年11月)

仏教において、「出家」とはあらゆる社会的な役割を拒絶し、社会の秩序の外に出ることを意味します。こうした出家生活のあり方を定めているのが「律(Vinaya)」と呼ばれるルールです。しかし遊行中心の生活を送っていた出家者が、次第に僧院に定住するようになると、国家や社会と継続的な関係をもつようになりました。その結果、出家者や僧院のあり方は、権力者や在家者(一般信徒)の関心事にもなりました。つまりどのように律を解釈・実践するかは、正統性や権力の問題となったのです。こうした出家者・権力者・在家者の相互作用の結果として常に再創造されていく制度のことを、本書では僧院制度(monasticism)と呼びます。本書の目的は、僧院制度の実態とそれが創造されていく過程について、現代ミャンマーを事例として明らかにすることにあります。こうした分析を通じて、僧院のガバナンスという問題は、仏教国家・社会のガバナンスという問題と不可分な関係にあることを示します。

関連書籍

藏本龍介『仏教を「経営」する: 実験寺院のフィールドワーク』 (東京: NHK出版、2025年年) ISBN: 978-4-14-091293-5

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