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国際研究集会「日記史料の可能性―日・韓の事例から―」を開催

掲載日:2020年2月7日

 2020年1月15日(水)、史料編纂所主催、慶北大学校嶺南文化研究院・慶北大学校史学科BKプラス事業団共催により、国際研究集会「日記史料の可能性―日・韓の事例から―」を開催しました。
  主催の史料編纂所は、平安時代から明治維新期にいたる各種の日記史料を研究・編纂してきました。その成果は、『大日本古記録』(既刊144冊)や『大日本近世史料』『オランダ商館長日記』などのシリーズとして刊行中です。共催の慶北大学校嶺南文化研究院は、両班文化の花開いた韓国の慶尚道(嶺南)に所在し、地域に伝存する数多くの史料の調査研究を進めています。現在は朝鮮時代の日記史料に注目したプロジェクトを遂行中で、日本における日記史料の研究状況について学び、意見交換をおこないたいとの要望がありました。史料編纂所もこれまで様々な形で韓国との研究交流を進めてきましたが、韓国の日記史料についての知見を得る良い機会と考え、今回の国際研究集会の開催へと結びつきました。
  研究集会(於:伊藤国際学術研究センター特別会議室)は、第1部「日本の日記」、第2部「韓国の日記」、第3部「総合討論」の3部構成で進められました。第1部では、尾上陽介教授(史料編纂所)「古代中世の日記史料について」、杉森玲子准教授(同)「近世日記史料の編纂と研究―「斎藤月岑日記」を中心に―」、箱石大准教授(同)「明治維新史研究と日記史料」の3報告がありました。日本における日記史料の概要や研究状況、史料編纂所所蔵品の特徴、編纂事業やデータベース化への展開など、基本的な情報がコンパクトに提供されたのはもちろん、報告者それぞれの研究蓄積をもとに、興味深い話題が満載の報告でした。

  第2部では、李廷喆氏(嶺南文化研究院専任研究員)「朝鮮時代日記の内容と形式に関して」、金貞雲氏(同)「朝鮮時代の日記資料と研究動向」、金鶴洙氏(韓国学中央研究院古典翻訳学科教授)「趙克善の『忍齋日録』を通してみた互恵と協同の共同体文化の可能性診断」、申周燁氏(慶北大学校史学科博士課程)「朝鮮時代の国家儀礼と日記」の4報告がありました。朝鮮時代の日記史料の概要(時代別・筆者別・内容別による分類など)や研究動向、儀礼史料と日記との関わりについてなど、多彩な報告がなされました。事例紹介も面白く、朝鮮時代の日記から窺える地域社会の様相であるとか、日記記主は何を書き残すべきと考えていたかなど、日本の日記を考える上でも示唆に富む指摘が多くありました。
  韓国では日記史料研究が1990年代以降に本格化したということで、現在では年間数十本の専論が公表されているとのことです。残存史料としては14世紀以降のものがあり、現在までに4000件余が確認されているそうです。しかし「日記」をどう定義づけるかが課題で、「儀軌」に含まれる儀礼の手順を日ごとに記した部分や、回顧録の類も含めるのかといった点に頭を悩ませており、第3部の総合討論や終了後のレセプション(於:UTカフェ)では、日本の日記研究の成果に学びたいとの期待が述べられました。また互いの報告を聞き、日韓双方の参加者から、「共通点が多いが相違点もあり、とても参考になった」との声が聞かれ、今後も研究交流を継続していくことが約されました。研究集会には、韓国からの23名(うち大学院生10名)を含む、37名の参加がありました。


(報告する尾上陽介氏<東京大学史料編纂所>)

(報告する金貞雲氏<韓国:嶺南文化研究院>)

 

関連書籍

東京大学史料編纂所 編『大日本古記録 愚昧記』 (東京: 岩波書店、2018.4年) ISBN: 9784000099868

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