立花家史料館・柳川市(柳川古文書館)との連携による史料画像のWEB公開

<記者会見の様子:左より、橋本秀博氏(柳川市教育長)/金子健次氏(柳川市長)/尾上陽介氏(史料編纂所所長)/植野かおり氏(立花家史料館館長)/山田太造氏(史料編纂所准教授)>
このたび、立花家史料館が所有し、柳川古文書館に寄託されている古文書の画像を、東京大学史料編纂所のデジタルアーカイブズを通して、広くWEB公開することになりました。2024年9月30日、立花家史料館、柳川古文書館を管理運営する柳川市、史料編纂所の三者が本件に関する覚書を締結し、記者会見を行いました。
立花家史料館は、江戸時代に柳川を治めた大名、立花家に伝来した文書や美術工芸品などを所有しています。このうち文書にあたる大友家文書・旧柳河藩主立花家文書は、柳川古文書館に寄託されており、両館を中心に保存・研究およびその成果の発信が精力的に行われています。
一方史料編纂所は、「人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業」など、研究データの共有化を目指す事業に積極的かつ継続的に取り組んでいます。特に島津家文書をはじめとする九州武家文書を多く所蔵していることから、九州の機関との連携は重点目標の一つと考えています。2021年7月には、宮崎県都城市と覚書を結び、都城島津邸所蔵史料の画像をWEB公開しました。
そして今回、九州所在史料のWEB公開の第二弾として、立花家史料館所蔵・柳川古文書館寄託文書の画像公開が実現しました。閲覧可能となったのは、大友家文書の全部と、旧柳河藩主立花家文書の一部、計約3,600コマで、画像数は今後も順次増やしていく予定です。史料編纂所の「Hi-CAT Plus」(ハイキャットプラス)というデジタルアーカイブズで検索・閲覧が可能で(画像検索の手引き)、画像の利用規程は立花家史料館 ・柳川古文書館のホームページ上に明示されています。
なお本件は、機関間連携拡大のモデルケースとしても重要です。前述の通り、史料編纂所は2021年に都城島津邸所蔵史料の画像公開を行いましたが、実は都城島津邸は、展覧会開催時の史料提供などを通して、立花家史料館と協力関係を築いていました。このネットワークを通じて、立花家史料館に史料編纂所の活動を知っていただくことができ、それがきっかけとなって、今回の新たな連携へと発展したのです。つまり本件は、各機関がこれまでに培ってきた協力関係が相互につながっていき、連携の輪が大きく広がった成功例と評価することができるでしょう。
<Hi-CAT Plusデータベース検索画面>
<立花家史料館所蔵史料の画像表示イメージ>