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「介添人」シャペロンのはたらきを分子レベルで解明 タンパク質の形のダイナミックな変化を1分子観察でとらえる

掲載日:2018年11月2日

2つのシャペロンシステムの共同作業
2つのシャペロンシステムの共同作業
前半で働くシャペロンシステム(左)と後半で働くシャペロンシステム(右)が協調してアルゴノートタンパク質(貝)を開き、活性化している。
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© 2018 Yasuko Tadakuma and Hisashi Tadakuma.

東京大学定量生命科学研究所の坪山幸太郎大学院生、泊幸秀教授らの研究チームは、1分子イメージング技術を用いて、シャペロンによってタンパク質の形がダイナミックに変化する様子を直接観察することに、世界で初めて成功しました。

タンパク質の一部は、「介添人」の役割を果たすシャペロンの助けを借りることにより、自身の形を変えることではじめて機能を発揮することができるようになります。このようなタンパク質は「クライアントタンパク質」と呼ばれ、がんやアルツハイマー病に関わるタンパク質など、細胞の中に少なくとも数百種類あることが知られています。しかし、シャペロンがクライアントタンパク質の形をどのように変化させるのかについては、これまで詳しく調べる方法がなく謎に包まれていました。

今回研究チームは、クライアントタンパク質の一つであり、RNAサイレンシングの中核を司るアルゴノートの2つの異なる場所にそれぞれ異なる蛍光分子で目印をつけました。そして、1分子イメージング技術を用いることによって、シャペロンがこのアルゴノートの形を変化させる様子を直接観察しました。その結果、シャペロンにはアルゴノートを大きく開いて活性化するはたらきがあること、また、前半で働くシャペロンシステムと後半で働くシャペロンシステムがそれぞれ異なる機能を持ちながら、協調してアルゴノートの形を開くしくみが明らかになりました。

本成果は、シャペロンが様々なクライアントタンパク質の形を変え、その機能を活性化するしくみを解き明かす画期的な研究成果であるとともに、シャペロン機能の制御を利用した医薬品開発を加速させることが期待されます。

「長年不明だった、シャペロンはクライアントタンパク質に対して何を行っているのかという根本的な問いに対し、本研究成果は一つの答えを与えるものだと言えます」と泊教授は話します。また、坪山大学院生は「1分子イメージングという新しい技術を使って他の現象も解き明かしていきたい」と続けます。

論文情報

Kotaro Tsuboyama, Hisashi Tadakuma and Yukihide Tomari, "Conformational activation of Argonaute by distinct yet coordinated actions of the Hsp70 and Hsp90 chaperone systems," Molecular Cell: 2018年5月18日, doi:10.1016/j.molcel.2018.04.010.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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