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セファイド変光星、宇宙を語る 初めて明かされた銀河系の歴史と、更なる謎

掲載日:2011年11月11日

天の川の中心(以下、銀河系中心)は、大質量ブラックホールや大量のガス、非常に密集した星の大集団などが混在する、天文学でもっとも重要な場所の一つとして長年研究されてきました。

銀河系中心領域の近赤外線画像と発見したセファイド変光星
©Noriyuki Matsunaga

しかし、銀河系中心に集まる星が、いつ、どのように誕生したのか、これまでよくわかっていませんでした。大量の星間塵にさえぎられている銀河系中心の観測は容易ではなく、たとえば、星の年齢推定が可能な「セファイド変光星」が見つかっていませんでした。セファイド変光星は周期的に明るさが変化する特別な天体で、その周期と星の年齢が関連していることが知られています。

東京大学理学系研究科の松永典之特任研究員らは、世界で初めて、銀河系中心でセファイド変光星を見つけ、その周期から銀河系中心の星の歴史を調べました。

その結果、今から7000~3000万年前にあまり星が作られない期間があり、2500万年前付近で活発に星が作られたことがわかりました。つまり、銀河系中心で数千万年ごとに星のベビーブームが起きていることを示唆する結果です。

今回の発見は、銀河の中心で起こる星形成の歴史に新たな視点で迫るものであると同時に、なぜ星が作られるペースが変化するのか、星の原料となるガスがどのように銀河系中心に供給されるか等、多くの謎を投げかけるものです。

本研究には、東京大学、京都大学、自然科学研究機構国立天文台、名古屋大学、およびイタリア・ローマ大学と南アフリカ・ケープタウン大学の研究者が参加しました。

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論文情報

Matsunaga, N., Kawadu, T., Nishiyama, S., Nagayama, T., Kobayashi, N., Tamura, M., Bono, G., Feast, M. W. & Nagata, T.
“Three classical Cepheid variable stars in the nuclear bulge of the Milky Way”
Nature, published online on 24 August 2011. doi: 11.1038/nature10359
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