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太陽光発電 研究者によるキーワード解説

掲載日:2013年5月10日

自然エネルギーの中で、太陽光エネルギーは最もふんだんに存在します。化石燃料は過去の太陽光が、また風力、波力、バイオマスは現在の太陽光が作ったエネルギーであり、地球上の(原子力を除く)あらゆるエネルギーの源と言えます。太陽光が地表に届けているエネルギーの総量はおよそ原発5千万基分あります。従って、太陽光エネルギーを効率よく集めることができれば「エネルギーが足らない」という事態には陥るはずがないのです。

総括寄付講座で目指す砂漠地帯集光型太陽光発電のイメージ。(c) Global Solar+ Initiative.

総括寄付講座で目指す砂漠地帯集光型太陽光発電のイメージ
© Global Solar+ Initiative.

太陽光発電は、この太陽光から直接電気の形でエネルギーを取り出す技術を指します。似た技術に太陽熱発電がありますが、これは太陽光を一旦熱エネルギーに換えてから、タービン等従来手法で発電を行うもので、太陽「光」発電と比べると間接的です。太陽光発電を担う中核的要素は太陽電池です。太陽電池が光エネルギーを直接電気エネルギーに変換します。太陽光発電の最大の問題は、生成される電気エネルギーの量が天候や昼夜に左右され、一定しないことです。このように不安定な電源を現在の電力系統に接続すると、他の発電機がその不安定さをカバーしなければならないので、全体の安定性や効率に悪影響が出ます。これが、太陽光発電を大々的に導入できない主な理由です。もちろん、日本のように安定した晴天の得られにくいところでは、稼働率が低いので相対的にコストが高くなることも、導入を阻む理由になります。

従って、太陽光発電を新しいエネルギー源として大規模に導入するには、短期的には太陽電池の変換効率向上、バックアップ電源の確保、大型二次電池の開発、中長期的には太陽光エネルギーを一時的あるいは長期間、貯蔵する技術の開発が鍵になります。また、最も低コストで太陽光エネルギーを収穫できる、低緯度砂漠地帯での導入普及をより積極的に進めるべきと考えます。これに向けて、東京大学では、NEDO革新的太陽光発電技術研究開発事業を受託し、次世代超高効率太陽電池の研究開発を担うとともに、総括寄付講座「太陽光を機軸にした持続可能グローバルエネルギーシステム(GS+I)」を立ち上げて、国際連携のもとでの大規模太陽光発電の実現を目指しています。

中野義昭 教授

GS+I総括寄付講座

中野・杉山・種村研究室

先端科学技術研究センター

(この記事は淡青25号「再生のアカデミズム」に掲載されました。)

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