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蓄電・燃料電池 研究者によるキーワード解説

掲載日:2013年8月13日

エネルギー工学連携研究センター(CEE)は、革新的エネルギー科学技術を開発することを目的として、2008年1月に設立された研究センターで、エネルギー分野における様々な課題の抽出・整理、エネルギー技術開発、シナリオ分析、エネルギー戦略立案などに取り組んでいる。3.11の東日本大震災対応として、緊急に節電のホームページを設け、節電対策の情報発信を行う、今後のエネルギー需給の見通しに関するシンポジウムを開催するなど、復興・再生に向けた取り組みを始めている。

© Atsushi Tsutsumi.
ラゴンプロット 各種電池性能 (エネルギー密度 VS 出力密度)

震災後、特に電力不足が大きな問題となり、脱原子力の動きの中で、大陽光・太陽電池、風力、バイオマス、波力、地熱などの再生可能エネルギーに関心が集まっている。これら再生可能エネルギーは出力が時間によって変動してしまう。一方、需要側も、パルス状に時間とともに変動する負荷が増えており、これらの電力供給および電力需要の変動を平滑化するエネルギー貯蔵(蓄電)技術の開発が必須である。特に、自然エネルギーの普及には、太陽電池や燃料電池などの分散電源と二次電池を組み合わせたシステムがキーとなると考えられる。

電池は電力貯蔵用だけでなく、これまでもパソコンや携帯電話などのモバイル用や電気自動車(EV)用として精力的に開発が進められている。図は各種電力貯蔵デバイスのエネルギー密度と出力密度をプロットしたものである。リチウムイオン電池などの二次電池は、出力密度は燃料電池より一桁以上大きいが、逆にエネルギー密度は2桁小さい。電力貯蔵用およびEV用電池には、燃料電池並のエネルギー密度と、さらなる高出力化が求められている。筆者らは、三相界面で起こっていた燃料電池の電極反応を、水素の吸蔵と電池反応とに分割し、全ての反応を二相界面で行わせることによって、二次電池並の出力密度、燃料電池並のエネルギー密度を持つ燃料電池・蓄電池(フューエルセル・バッテリー:FCB)の開発を進めている。復興・再生に向けて、大学として、人材育成、情報発信を行っていくとともに、このような革新的エネルギー技術開発を着実に進めていくことが大切であろう。

堤敦司 教授

生産技術研究所

生産技術研究所 附属エネルギー工学連携研究センター

生産技術研究所 附属エネルギー工学連携研究センター 堤研究室

(この記事は淡青25号「再生のアカデミズム」に掲載されました。)

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