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ダボス会議で感じた2つの希望 |  総長室だより~思いを伝える生声コラム~第19回

掲載日:2019年3月5日

東京大学第30代総長 五神 真

ダボス会議で感じた2つの希望

 

 1月下旬、世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に参加しました。そこで特に印象に残った話題を紹介します。一つは、日本人の坂野晶さんが共同議長として会議を進めていたことです。世界経済フォーラムにはGlobal Shapersという若手ネットワークがあります。33歳以下で、世界で様々な分野で活躍する8千人弱がメンバーとして活動しています。その中から若手6人が今回のダボス会議の共同議長として選ばれ、そのひとりに選出されたのです。彼女が理事長を務めるNPO「ゼロ・ウェイストアカデミー」は、徳島県上勝町と連携してごみを出さない社会の実現を目指しています。プラスチックによる海洋汚染が世界的に注目される中で、「サーキュラー・エコノミー」というキーワードは会議でも重要なトピックの一つで、坂野さんは今回最も目立った日本人の一人でした。中米のある国の大統領とも直接面談し、徳島の取組を国家規模で進めたいと相談を受けたそうです。日本の地域での取組がグローバルな展開につながる好例になるかもしれません。地球規模での課題解決の議論の最前線に日本の若い女性が立っていることに希望を感じました。その坂野さんとの出会いは今回の収穫の一つです。ぜひ東大の学生とも活動をしたいとお誘いを受けました。

 もう一つは、東大の研究をダボス会議参加者に紹介するセッション「IdeasLab」が実現したことです。自己修復プラスチックの相田卓三教授(工学系研究科)、手術支援ロボットの原田香奈子准教授(工学系研究科)、バイオハイブリッドの竹内昌治教授(生産技術研究所)の3先生が選ばれ、Novel Materials for Next-Generation Roboticsというセッションが企画されました。昨年秋から綿密に準備してきたという発表はすばらしく、参加者と活発な議論が行われました。先生方にとっても大きな収穫となったようで、このような貴重な経験を、ぜひ多くの教員にも経験してほしいとの感想もありました。東大の国際プレゼンス向上にも大いに役立ち、これからも東大の企画が常連となると良いと思います。

 今回のダボス会議では、地球温暖化やデータ流通に関する基本ルールなど、物質的な飽和の中で、今後も世界経済が成長を続けるためにどうすればよいかという議論が活発になされ、インクルーシブネスを追求すべきという方向性が共有されました。東大が取り組んできた、SINETを活用して大学が駆動力となって知識集約型社会へのパラダイムシフトを先導するという方向性はまさにこの議論を先取りするものだと感じました。是非、議論から行動へ移し、世界をリードしていきたいと思います。

 

 

「学内広報」1519号(2019年2月22日)掲載
 

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