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人文学向け電子テキスト構築の国際ガイドラインに 日本語セマンティクス(ルビ)が導入される研究成果

掲載日:2021年6月18日

東京大学大学院人文社会系研究科の下田教授が研究代表をつとめる一連の科学研究費補助金事業(JP22242002, JP15H05725, JP19H00516)の成果として、2021年2月25日に公表されたTEIガイドライン(Text Encoding Initiative Guidelines) P5 version 4.2.0において、日本語のルビがガイドラインの基本構造の一つに組み込まれました。これにより、非欧米圏の日本語資料が有する固有のセマンティクス(意味論)が、人文学のための国際標準のデータ形式として、初めて認知されるに至りました。
TEIガイドラインは、人文学のあらゆる分野で使用するテキストに内在する多様な暗黙的構造をデジタル媒体上に記述する体系的方法として、欧米の人文学における標準規格となっています。このガイドラインは、標準化を目指す意図から、個々の文化伝統のもつ特異性からは、距離を取る志向を持っていました。これに対し下田正弘教授らは仏教学におけるデジタル研究を通じ、東アジアおよび日本語資料の独自のセマンティクスを国際標準化する活動を進めてきました。2016年、TEI ガイドラインを策定するTEI 協会 内にEast Asian/Japanese 専門分科会を設立し、日本語圏に向けてTEIの普及活動を進めるとともに、TEI協会に対して日本語ルビ導入の提案を行いました。
その結果、2021年2月25日に公表されたTEIガイドラインP5 version 4.2.0において提案が承認され、ガイドラインの基本方針の一つとなりました。日本語資料が有する固有のセマンティクス(意味論)が、非欧米圏で初めて人文学の国際標準のデータ形式として承認されたことは、国際的にデータ駆動型研究が推し進められるなか、文化伝統の多様性を前提として人文学を進めるための重要な端緒となるものです。
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