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Research News

細胞内骨格の賢い解体屋

微小管を脱重合する分子モーターが効率良く働く仕組みを解明

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医学系研究科・医学部
2018/03/16

© 2018 Hirokawa Lab.生体内のエネルギー源ATPを加水分解する過程で、KIF2分子1つがチューブリン二量体を2セット捉えた大きな構造を形成し、1個のKIF2分子でチューブリン二量体を2個解体します。

分子モーターKIF2が効率良く微小管を解体する仕組み
生体内のエネルギー源ATPを加水分解する過程で、KIF2分子1つがチューブリン二量体を2セット捉えた大きな構造を形成し、1個のKIF2分子でチューブリン二量体を2個解体します。
© 2018 Hirokawa Lab.

東京大学大学院医学系研究科の廣川信隆特任教授と小川覚之助教らの研究グループは、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の西條慎也特任助教(研究当時)と清水伸隆准教授との共同研究によって、細胞内の骨格である微小管の解体屋が効率良く働く仕組みを明らかにしました。

細胞の骨格となるタンパク質の微小管は、チューブリンというタンパク質が多数結合(重合)して集まったチューブ状の構造をしています。神経細胞の形成や細胞分裂などの生命現象には、微小管の形成(重合)と微小管が短くなりチューブリンになる、すなわち解体(脱重合)が秩序立って進められることが重要です。細胞内の輸送や運動に関与するキネシンというタンパク質のひとつであるKIF2がこの微小管の解体を担うことは知られていましたが、多くのチューブリンからなる巨大な微小管を、どのようにして少ない数のKIF2が先端から順番に秩序立って解体するのかはわかっていませんでした。

研究グループは、KIF2が微小管を解体する途中の状態を詳細に解析し、生体内のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)がタンパク質によって分解される加水分解の過程で、KIF2分子1つがチューブリン二量体(2個の小さいチューブリン分子の結合により構成されたチューブリン分子)を2セット捉えた大きな構造を形成して、1個のKIF2分子でチューブリン二量体を2個解体することを明らかにしました。KIF2は、少ない分子数でATPを効率良く利用して微小管を解体する「省エネモーター」であったのです。微小管が効率良く脱重合するには、同じ場所にKIF2分子が集まるよりも、バランス良く分散して微小管の先端全体に結合して仕事をする方が良いのです。微小管の重合・脱重合のコントロールの破綻は、神経変性疾患や細胞分裂異常による癌の形成など、多くの疾患を引き起こします。本研究によって明らかになった微小管脱重合機構の解明は、今後の微小管関連疾患の病態理解や治療法解明の基盤となると期待されます。

「これまで世界中の研究者は、微小管を脱重合する分子モーターKIF2が分子1つで1つのチューブリン分子を脱重合すると予想していました」と廣川特任教授は話します。「しかし、我々はこの先入観を覆し、KIF2分子1つで一度にチューブリン2分子を脱重合していることを示し、そのメカニズムを明らかにしたのです。そしてその機構は、細胞内の分子モーターがいかに省エネルギーで賢く働いているかを我々に教えてくれます」と続けます。

プレスリリース

論文情報

Tadayuki Ogawa, Shinya Saijo, Nobutaka Shimizu, Xuguang Jiang, and Nobutaka Hirokawa, "Mechanism of Catalytic Microtubule Depolymerization via KIF2-tubulin Transitional Conformation", Cell Reports Online Edition: 2017/09/13 (Japan time), doi:10.1016/j.celrep.2017.08.067.
論文へのリンク(掲載誌

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