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室内光で働く腕章型やわらか体温計の開発に成功 電力の送電不要、発熱を音で知らせる-新型センサーへの応用に期待

掲載日:2015年3月25日

© 2015 Sakurai Laboratory, Someya Laboratory

© 2015 Sakurai Laboratory, Someya Laboratory

近年、脈拍や体温などの生体情報を常時モニタリングするアプリケーションに注目が集まっています。このような、人体に直接接触するセンサー・デバイスには、従来の電子部品にはなかったような装着感のない柔らかさや、ケーブルが不要な構造が求められます。さらに、電池交換のようなメンテナンスが不要であることも重要です。

東京大学の桜井貴康教授、染谷隆夫教授らのグループは、室内光で発電し、音で発熱を知らせる有機集積回路を用いた腕章型フレキシブル体温計の開発に成功しました。本体温計は、有機集積回路、温度センサー、フレキシブルな太陽電池とピエゾフィルムスピーカーで構成されます。温度センサーは、検知温度が設定可能な抵抗変化型のセンサーで、高分子フィルム上に作製されているため、装着感のない柔らかさを実現しました。また、有機集積回路とピエゾフィルムスピーカーを用いることで、フレキシブルな電子ブザーを開発しました。有機集積回路を用いて音を発生させたのは、世界で初めてです。さらに、さまざまな明るさの部屋で本体温計を使用できるようにするための電源回路も開発しました。この体温計は人の上腕部に取り付けられ、体温を常時モニターします。そして、体温が設定したある温度を超えると「発熱している」と判断して、周囲に音で知らせる機能を持ちます。この一連の動作は全て、室内光で発電される電力で賄うことができるため、電池交換などのメンテナンスは不要です。このような電源回路を有機トランジスターだけで実現したのも世界で初めてです。

今回の研究の原理は、温度以外にも、水分や圧力などさまざまなセンサーに応用することが可能であり、幅広い用途への応用が期待されます。 本成果は、2015年2月22日(日)~26日(木)に米国サンフランシスコで開催された「国際固体回路会議(ISSCC)2015」で発表されました。

なお、本研究は科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業の支援を受けて行われました。

プレスリリース

論文情報

Hiroshi Fuketa, Masamune Hamamatsu, Tomoyuki Yokota, Wakako Yukita, Teruki Someya, Tsuyoshi Sekitani, Makoto Takamiya, Takao Someya, and Takayasu Sakurai, "Energy Autonomous Fever Alarm Armband Integrating Fully Flexible Solar Cells, Piezoelectric Speaker, Temperature Detector, and 12V Organic Complementary FET Circuits", IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC) Digest of Technical Papers pp. 296-297: February 2015 (Japan time)

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大学院工学系研究科 電気系工学専攻 染谷研究室 有機トランジスタ・ラボ

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